離婚合意後でも不倫相手に慰謝料請求は可能?請求条件と成功のポイント
- 2025年01月31日
- 2025年05月06日

「離婚後でも不倫相手に慰謝料請求できるのか?」
このような疑問を持つ方は多くいます。離婚の合意後であっても一定の条件を満たせば、不倫相手に慰謝料請求が可能です。しかし、「婚姻関係が破綻する前の不貞行為であるかどうか」が大きな争点となります。
もし不倫が夫婦関係を壊した原因であれば、離婚の合意後であっても慰謝料請求の余地はありますが、すでに夫婦関係が破綻していたと判断される場合は請求が認められにくくなります。
本ブログでは、離婚合意後でも慰謝料請求が認められる条件、不倫の証拠の集め方、請求が難しくなるケース、具体的な手続きについて詳しく解説します。
1. 慰謝料請求が認められるための基本的な条件
不倫(不貞行為)に基づく慰謝料請求が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。
✅配偶者と不倫相手が性的関係を持っていたこと
✅不貞行為によって婚姻関係が破綻したこと
✅不倫相手が既婚者であると知っていたこと
✅時効が成立していないこと(不貞行為を知ってから3年以内)
したがって、離婚合意の後に不貞の証拠を撮った場合、それが婚姻関係の破綻後の行為と判断されると、慰謝料請求が難しくなる可能性があります。
2. 慰謝料請求ができるケース
以下のような場合、不倫相手に慰謝料請求が認められる可能性があります。
(1) 離婚合意前に不倫関係があった証拠がある
離婚の合意前から不倫関係があった場合は、不倫相手に慰謝料を請求することが可能です。
たとえば、LINEのやりとりや、ラブホテルの利用履歴、第三者の証言などで「離婚合意前から不貞関係があった」と証明できれば、請求が認められる可能性が高くなります。
✅ 離婚を合意したのは最近だが、配偶者が1年以上前から不倫していた証拠がある
✅ 離婚合意前に、不倫相手との関係を示すメールやSNSの投稿がある
✅ 配偶者が不倫関係を認めているLINEのやりとりがある
(2) 形式的な離婚合意であり、まだ婚姻関係が継続していた
離婚の合意をしたが、まだ法律上の婚姻関係が続いていた場合。
口頭での離婚合意ではなく、離婚届を提出するまでは正式な婚姻関係が続くため、その間の不貞行為なら慰謝料請求が可能です。
✅ 離婚合意後、正式な手続き前に不倫が発覚した
✅ 離婚届はまだ提出しておらず、夫婦としての生活が続いていた
3. 慰謝料請求が難しくなるケース
一方で、以下のようなケースでは、慰謝料請求が難しくなる可能性が高いです。
(1) 離婚合意後に不貞の証拠を撮った場合
離婚の合意後に発生した不貞行為は、「婚姻関係を破綻させた原因ではない」と判断されます。
すでに夫婦関係が実質的に終わっていると見なされるため、不倫による精神的苦痛が認められにくくなります。
❌ 離婚合意後に不倫の証拠を集めたが、それ以前の証拠がない
❌ 配偶者が「離婚が決まっていたので自由に恋愛していた」と主張する
(2) 配偶者が「不倫ではなく、新しい恋愛」と主張する
離婚の合意後に不貞行為があった場合、それは「自由な恋愛」と判断される可能性があります。
不倫相手が「婚姻関係が破綻した後の交際だ」と主張すれば、慰謝料請求が困難になります。
❌ 離婚の話し合いが終わった後、配偶者が新しい恋人を作った
❌ 不倫相手が「既に夫婦関係が破綻していた」と主張する
4. 不倫の証拠とは何か?証拠の具体例と注意点
不倫による慰謝料請求を成功させるには、「不貞行為があったこと」を裏付ける証拠が必要不可欠です。証拠が不十分、あるいは法的に無効な方法で収集された場合、慰謝料が認められないリスクがあります。
(1)有効な不倫の証拠とは?
裁判や示談で有効とされやすい証拠は、次のようなものです。
✅ 探偵による調査報告書
・ラブホテルへの出入りや複数回の密会を撮影した報告書は、不貞行為を示す強力な証拠となります。
・「一回限り」ではなく、「継続的な関係」を裏付ける複数回の記録が望ましいです。
✅ ラブホテルの領収書・明細
・日時や場所、継続的な利用履歴がわかれば、客観的な証拠として使用できます。
✅ LINEやメールなどのやりとり
・「肉体関係があった」と読み取れる内容があると有効。
・日付が婚姻関係の破綻前であることが重要です。
✅ 写真・動画
・二人きりでの旅行、宿泊、親密なスキンシップが写っているものは証拠となります。
・日付入りで、婚姻中に撮られたものであることが望ましいです。
✅ SNSの投稿
・匂わせ投稿や二人で写っている画像などは補助的な証拠になります。
・他の証拠と組み合わせることで、全体像を強化できます。
✅ 配偶者の自白(LINEや録音など)
・「実は付き合っている人がいる」「体の関係もある」などの発言があれば、重要な証拠になります。
(2)証拠収集の注意点
証拠を集める際には、次のような点に注意が必要です。
違法な方法による収集は無効・違法になることも
・盗聴、住居侵入、パスワードの不正取得などによって得た証拠は、プライバシー侵害にあたり、逆に訴えられるリスクがあります。
・例えば、パートナーのスマホを勝手に覗いてスクリーンショットを撮るのも、違法と判断されることがあります。
一度だけの食事や連絡では不貞とみなされない
・「体の関係があった」と証明できなければ、不倫(不貞行為)とは認められません。
・あくまで肉体関係の存在を示すことがカギです。
証拠は時系列で整理して保存を
・「いつ、どこで、どんな行為があったか」が明確になるよう、LINEのスクリーンショットや領収書などは時系列でまとめておきましょう。
・この整理が、弁護士への相談時や調停・裁判で大いに役立ちます。
5. 慰謝料請求の手続きと流れ(実務編)
慰謝料請求を成功させるためには、正しい手続きを踏むことが重要です。ここでは、実際の請求に至るまでの具体的な流れを解説します。
(1) 証拠の収集・整理
まずは、不貞行為があったことを証明する証拠を集めます。
探偵による調査報告書、LINEやメールのやりとり、写真、動画、ホテルの領収書などが有力です。
✅ ポイント
・証拠の日時が明確であること
・婚姻関係が破綻する前の行為であることがわかる内容であること
(2) 弁護士への相談
法的に有効な請求が可能か、事前に弁護士に相談しましょう。
証拠が不十分だったり、時効のリスクがある場合でも、対策や戦略を立てることができます。
✅ ポイント
・早期相談で不要なリスクを回避できる
・交渉や訴訟の代理を任せることで精神的な負担を軽減できる
(3) 内容証明郵便による請求
不倫相手に対して慰謝料の支払いを求める文書を「内容証明郵便」で送付します。
この段階で相手が支払いに応じれば、示談(和解)で終了することもあります。
✅ ポイント
・書面には事実関係・請求額・支払期限などを明記する
・一方的な脅迫的内容にならないよう、法的に妥当な表現にする
(4) 示談交渉(任意の話し合い)
相手が内容証明に対して応答した場合、示談交渉に進みます。
支払い方法・金額・期限・再発防止条項などを話し合い、合意できれば「示談書」を作成します。
✅ ポイント
・示談書には必ず署名・捺印をもらい、複数部を保管する
・できれば弁護士に確認してもらう
(5) 調停・訴訟による請求(合意に至らない場合)
示談が成立しない、または相手が応じない場合は、家庭裁判所での調停や民事訴訟に進むことになります。
証拠を元に法的判断を仰ぎ、慰謝料の支払いを求めます。
✅ ポイント
・調停は話し合いの場であり、柔軟な解決が可能
・訴訟では証拠の価値や婚姻関係の破綻時期が重要な判断材料になる
(6) 慰謝料の受け取りと終了
和解・判決により慰謝料の支払いが決まったら、金銭の受け取りを行います。
口座振込や現金受け渡しなど、合意内容に基づいて実行されます。
✅ ポイント
・入金確認後、受領書などを作成して記録に残す
・未払いがあれば強制執行(差押え)の手続きも視野に
6. 実際に慰謝料請求した人の体験談
慰謝料請求には法律的な知識や証拠の集め方、タイミングが重要ですが、実際に行動した人の事例から学ぶことで、より現実的な対策が見えてきます。ここでは、不倫相手に慰謝料請求を行った2人の体験談をご紹介します。
【ケース1】離婚合意前の不貞を立証し、慰謝料250万円を獲得(30代女性)
状況:
結婚7年目で夫の行動に違和感を持ち、探偵に依頼。不倫の証拠として、ラブホテルの出入り写真などを確保。夫との離婚は合意したが、「婚姻関係の破綻前に不貞があった」として、不倫相手に慰謝料請求を行った。
対応と結果:
弁護士と連携し、証拠を添付した内容証明郵便を送付。当初、不倫相手は否定していたが、証拠を突きつけられて250万円の支払いに応じ、示談が成立。
ポイント:
✅ 離婚前に不貞行為が行われたことを証明できた
✅ 証拠の信憑性と弁護士の交渉が成功のカギ
【ケース2】離婚後の恋愛と見なされ、慰謝料請求が認められず(40代男性)
状況:
離婚協議中、妻のSNS投稿から交際相手の存在を知る。離婚届を提出した直後に証拠を集め、不倫と判断して慰謝料請求を検討。
対応と結果:
弁護士に相談するも、「婚姻関係の法的終了後の交際は自由恋愛」とされる可能性が高く、証拠も離婚後のものであったため、慰謝料請求は断念。
ポイント:
❌ 法的にはすでに婚姻関係が終了しており、請求が困難
❌ 感情的な怒りより、法的なタイミングが重視される現実
7. 体験談からの学び
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不倫による慰謝料請求は「婚姻関係の破綻前」が鍵
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法的に有効な証拠があるかが勝敗を分ける
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感情ではなく事実と法律が重視される
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早めの相談・行動が有利に働く
8. 慰謝料請求を成功させるためのポイント
慰謝料請求を成功させるためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
(1) 離婚合意前の不貞の証拠を確保する
- 離婚の合意前から配偶者と不倫相手が関係を持っていたことを証明する証拠を確保する
- 具体的な証拠(探偵の報告書、LINEのやりとり、ホテルの領収書など)を集める
(2) 夫婦関係の破綻がいつだったかを明確にする
- 「婚姻関係が破綻する前に不貞行為があった」ことを証明する
- 例えば、夫婦としての生活を続けていた時期に不倫が行われていたことを示す証拠を用意する
(3) 弁護士に相談する
- 離婚合意後の不貞行為に対して慰謝料請求が可能かどうか、弁護士に相談する
- 法的にどの時点で婚姻関係が破綻したと判断されるかを専門家と確認する
よくある誤解と注意点:離婚後の慰謝料請求でありがちな落とし穴
離婚後に不倫相手に慰謝料を請求しようとする際、次のような誤解やミスがあると、正当な権利を主張できなくなることがあります。
❌「離婚してからでも大丈夫」と思って証拠集めを後回しにしてしまう
不貞行為の時期が「離婚合意の後」と見なされると、慰謝料請求が難しくなります。証拠は早い段階で確保することが重要です。
❌「LINEのやりとりだけで十分」と考えてしまう
LINEだけでは不貞行為の証明として不十分な場合もあります。複数の証拠を組み合わせて信憑性を高めることが大切です。
❌ 口頭で「離婚は合意済み」と言っていたのに、書類を出していないことを軽視してしまう
法律上の婚姻関係は離婚届が受理された時点で終了します。口頭のやり取りだけでは判断されません。
まとめ
配偶者と離婚の合意をした後に不貞の証拠を撮った場合、不倫相手に慰謝料を請求できるかどうかは以下の点が重要になります。
✅ 慰謝料請求が可能なケース
- 離婚合意前から不倫関係があった証拠がある
- 離婚合意後も法的には婚姻関係が継続していた(離婚届が未提出)
❌ 慰謝料請求が難しいケース
- 離婚合意後に初めて不貞行為の証拠を撮った
- 配偶者と不倫相手が「婚姻関係が破綻した後の恋愛」と主張する
慰謝料請求を成功させるための対策
- 離婚合意前の不貞の証拠を確保する
- 夫婦関係の破綻時期を明確にする
- 弁護士に相談して法的に有効な請求ができるか確認する
状況によっては慰謝料請求が難しくなるため、早めに専門家と相談し、確実な証拠を確保することが重要です。