不倫をする人間は、なぜ“自分の都合のいいように”物事を考えるのか?
- 2025年06月11日
- 2025年06月13日

「浮気してるくせに、どうしてそんなに堂々としてるの?」
「謝るどころか、“お前にも原因がある”って、どういうこと?」
——そんな風に、不倫加害者の“ずれた言動”に戸惑ったことはありませんか?
実は、不倫をする人の多くは、自分の都合のいいように現実をねじ曲げて解釈するという特徴を持ちます。それは単なる言い訳ではなく、心理的な“防衛”や“思考の癖”によるものかもしれません。
今回は、不倫をする人がなぜ都合のいい思考に陥るのか、その背景を一緒に探っていきましょう。
■ 都合のいい思考は「現実逃避」のひとつ
「これは遊びだから、本気じゃないよ」
「家庭を壊すつもりなんてないし」
「バレなければ問題ないでしょ?」
——こんなセリフ、不倫をしている人から聞いたことはありませんか?
一見ただの言い訳のように聞こえるこれらの言葉。でも実は、**本人が“本気でそう思っている”**ことも少なくないのです。
なぜなら、これは“現実を直視できない”心が作り出した、現実逃避のひとつだから。
◉ 心の葛藤から逃れるための「自己防衛」
人は、自分でも「これは間違っている」とうすうす感じている行動を続けるとき、心の中に葛藤が生まれます。
その苦しさから逃れるために、人は無意識に“言い訳”を作ります。
「これは悪くない」
「自分には仕方のない事情がある」
——そう信じこむことで、自分の心のバランスを保とうとするのです。
これが、いわゆる「都合のいい思考」。
一種の心の自衛手段ともいえます。
◉ 自分を守る思考が、他者を傷つけていく
ただし、この“心の防衛”が行き過ぎると、問題が起こります。
現実と向き合わずに都合よく物事を解釈しているうちに、正しさの基準そのものが歪んでいくのです。
その結果——
「本当に悪いのは自分じゃなく、配偶者の方だ」
「私は被害者なんだ」
といった、加害者が“被害者意識”を持ち始める構造ができあがってしまいます。
ここまでくると、話がまったくかみ合わず、周囲を傷つけ、関係性を壊していく一方です。
✦ 都合のいい幻想には、代償がある
本人にとっては、自分を守るための“安全地帯”かもしれません。
でもその裏側で、誰かの信頼を裏切り、心を傷つけ、大切な絆を壊していることに変わりはありません。
そしてその“代償”は、思っている以上に重く、大きいのです。
■ 「自分は悪くない」と信じたい深層心理
不倫をしている人の中には、驚くほど堂々としていたり、自分のことを正当化しているように見える人がいます。
でもその裏には、こんな深い心理が隠れていることがあります。
それは——
「自分は悪くない」と思い込まなければ、心が壊れてしまいそうなほどの苦しさです。
◉ 自分を守るための“言い訳”
不倫をしている人が語る言い分には、ある共通点があります。
-
「本当は離婚したかったけど、相手が取り合ってくれなかった」
-
「ずっと我慢してきたんだから、少し自由になりたかっただけ」
- 「夫婦関係はとっくに冷めてた。だからこれは不倫じゃない」
これらの言葉には、
「悪いのは自分じゃない」
という強い自己正当化が込められています。
たとえ自分の行動が不誠実であっても、それを直視するのがあまりにもしんどいため、
「しかたなかった」
「自分だって被害者だ」
と、無意識に“加害者”から“被害者”の立場にすり替えてしまうのです。
◉ 認知のゆがみと心の防衛本能
このような思考の背景には、心理学でいう「認知的不協和(にんちてきふきょうわ)」という状態があります。
それは、「良心」と「実際の行動」が食い違っているときに生まれる不快な心理状態のことです。
たとえば——
「自分は誠実な人間だ」と思っているのに、不倫という裏切り行為をしている。
そんなとき、人はそのギャップに強いストレスを感じます。
そのストレスから逃れるために、
「相手が悪い」
「自分には理由がある」
と考えることで、なんとか自分の心を守ろうとするのです。
◉ 弱さの裏返しとしての“強がり”
でもその「自分は悪くない」という態度は、強さではありません。
むしろ——
「壊れそうな自分」を必死で守っている、脆い防衛壁なのです。
この防衛反応が強くなると、自分の行動を客観視できなくなり、相手の気持ちへの配慮も消えていきます。
どれだけ相手が傷つこうが、「自分は正しい」と思い込んでしまう——
それが、あなたの感じる理不尽さの正体です。
■ 共感力の欠如と、他者視点の弱さ
不倫をする人には、しばしば「共感力の低さ」や「他者視点の弱さ」が見られます。
これは単に無神経という意味ではなく、他者の立場や感情を想像し、それを自分の行動に反映する力が育っていないということです。
不倫がバレたとき、「そんなに傷つくと思わなかった」と平然と言ってしまう人がいます。
あるいは、「別に愛情はないから問題ない」「一時的な気の迷いだ」といった言葉で、相手の傷を軽視する人もいます。
これらの言動には、「相手の心を想像する」という視点が欠けているのです。
◉ 共感力が欠如していると、こんなふうに思考が歪む
-
「自分にとって大したことないから、相手も気にしないはず」
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「黙っていれば、相手はずっと気づかない。だから問題ない」
-
「自分の幸せのために、多少の犠牲は仕方ない」
このように、相手の感情や尊厳を「軽視」する認知パターンが染みついていると、いくら説明しても話が通じません。
それは相手が“鈍い”のではなく、**「他者の視点で世界を見た経験がほとんどない」**からです。
◉ 共感力が乏しい人は「自分の物差し」だけで生きている
他者への想像力が欠如していると、人間関係は「損得」や「快・不快」でしか測れなくなります。
自分が不快なら離れ、自分が楽しいなら続ける。他人の気持ちより、自分の満足が基準。
そうした人にとって、不倫も「自分の感情を満たすための行動」にすぎず、その裏で誰かがどれほど苦しんでいるかには、関心が向きません。
この“感情の鈍感さ”が、不倫のような身勝手な行動を繰り返す土壌になっているのです。
✦ あなたが「普通に感じていること」は、間違っていない
あなたが「こんなことをされたら辛い」と思うなら、それは当然の感情です。
「どうしてわかってくれないんだろう」と感じるのも、あなたに共感力があるからです。
共感力がある人は、共感力が欠如した相手の振る舞いに苦しみます。
けれど、その感性こそがあなたの誠実さの証でもあるのです。
相手の歪んだ感覚に麻痺させられず、自分の“痛みを感じる力”を信じて大丈夫です。
■ 自己愛的傾向と「自分にだけ甘くなるルール」
不倫をする人の中には、「自分は特別」「自分だけは許される」といった自己愛的な傾向が強く見られるケースがあります。
これは単なる“自信過剰”ではなく、自分を守るために現実を歪める思考のクセに近いものです。
たとえばこんな思考をしていませんか?
-
「自分はストレスが多いんだから、少しくらいの癒しは許される」
-
「パートナーは冷たい。だから自分は被害者である」
-
「不倫は悪かもしれないが、本気じゃないからセーフ」
これらはすべて、**自分だけに都合よく適用される“マイルール”**の産物です。
◉ 他人に厳しく、自分にだけは甘い
自己愛的な傾向を持つ人は、しばしば「他人のルール違反」には厳しく、「自分のルール違反」には驚くほど寛容です。
たとえば、配偶者のLINEに異性の影があっただけで激怒するのに、自分が浮気していることには罪悪感がまるでない——そんな二重基準を平然と持ち合わせています。
これは、自分を否定する情報を受け入れることができない心の脆さと直結しています。
「自分が悪いかもしれない」と認めたくない。
だからこそ、自分にだけは甘くなるように、無意識にルールそのものを変えてしまうのです。
◉ 自己中心的な世界観の中でしか生きていない
このタイプの人は、自分が中心の小さな世界の中でしか物事を判断していません。
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自分が幸せかどうか
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自分が退屈しないかどうか
-
自分が“被害者”かどうか
すべての判断基準が「自分にとってどうか」で決まってしまうため、相手の傷や失望は“見えない”か、“大したことない”と処理されてしまいます。
そのため、たとえ不倫によって家庭が壊れそうになっても、「ここまで責められることじゃない」「そこまで自分が悪いとは思えない」と開き直る傾向があるのです。
◉ 境界線をあいまいにして、自分を正当化する
さらに自己愛傾向の人は、人との境界線をあいまいにすることで自分の責任を薄めようとします。
-
「相手が誘ってきたから」
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「あなたが冷たくなったから浮気したんだ」
-
「本気じゃないから、別に裏切りじゃない」
こうして、自分が加害者であることから目を逸らし、「自分もある意味、被害者だ」と捉え直してしまうのです。
これは、自己愛の裏にある“傷つきやすさ”や“脆弱な自尊心”の表れでもあります。
✦ あなたは、その歪んだルールに従わなくていい
大切なのは、「その人のマイルールに巻き込まれない」こと。
どれだけ堂々と語られても、その言い分が常識や倫理に反していると感じるなら——あなたの感覚のほうが、正しいのです。
不倫をする人の思考は、時にとても巧妙に、あなたの自己肯定感を揺さぶります。
でも忘れないでください。相手の都合でねじまげられた世界に、あなたが合わせる必要はありません。
そのルールは、あなたを縛るものではなく、相手のための自己正当化ツールにすぎないのです。
■ 自己愛傾向の人への対処法
自己愛傾向を持つ人と関わると、まるで相手の「理屈の世界」に閉じ込められたような気持ちになることがあります。
こちらがどんなに正論を伝えても通じず、逆に責められたり、話をすり替えられたり…。
あなたも、そんな理不尽さに疲れていませんか?
ここでは、自己愛的な思考に振り回されないための実践的な対処法をお伝えします。
1. 相手を「変えようとしない」
まず大切なのは、「相手を理解させよう」「わかってもらおう」とすることを手放すことです。
自己愛傾向が強い人は、自分の非を認めること=“負け”と感じやすく、防衛反応が強く出ます。
それゆえ、あなたがどれだけ誠実に話しても、彼らの認知のフィルターでは受け取ってもらえない可能性が高いのです。
だからこそ、「伝える努力」ではなく、「離れる判断」が必要になる場面もあるのです。
2. 感情の“巻き込み”に注意する
自己愛的な人は、他人の罪悪感や責任感につけこんで、自分の都合に巻き込もうとします。
-
「お前のせいでこうなった」
-
「俺(私)がこんなに苦しいのに、助けてくれないの?」
-
「家族のために我慢してるのに、感謝もされない」
…このように、あなたの「優しさ」や「責任感」を逆手に取った言葉を投げてくることがあります。
そのときは、「あ、いま私の心を操作しようとしている」と一歩引いて見る意識を持ってください。
感情を揺さぶられても、すぐに反応せず、間をとることが有効です。
3. あなたの「現実」を大切にする
自己愛的な人の言葉は、しばしば事実をねじ曲げ、あなたの感覚を否定してきます。
でも、そこで自分を疑ってしまわないでください。
-
「私はおかしくなんかない」
-
「私の感じたことが“真実”なんだ」
そうやって、あなた自身の“現実認識”を大切にすることが、心を守る最大の盾になります。
4. 安心できる第三者の存在を持つ
自己愛傾向のある人との関係では、「自分の感覚が狂ってしまったように感じる」ことがあります。
そんなときは、信頼できる第三者(友人、カウンセラー、支援者)に話をすることで、現実を再確認できるようになります。
孤立した状態では、相手の歪んだ世界観に引き込まれてしまいやすいからです。
ひとりで抱えず、「自分の感覚に共感してくれる人」をそばに置くことを意識しましょう。
5. 「自分を守る」という視点で関わる
関係を断つのが難しい場合でも、「相手の要求にはすぐ応じない」「返事は後日にする」など、自分のペースを守る工夫ができます。
また、ラインやメッセージに即座に反応しない、自分の意見をはっきり伝えるなど、“小さな境界線”を積み重ねることもとても有効です。
あなたの心と時間を守るのは、あなた自身です。
自己愛的な人との関係においては、何よりもまず**「自分を守る選択」をしていいんだ**ということを、忘れないでくださいね。
■ 境界線の引き方:巻き込まれないためにできること
「言い返したら逆ギレされるかもしれない」
「話をすり替えられて、また私のせいにされるのが怖い」
——そんな経験、ありませんか?
自己愛的な人や、都合のいい思考をする人と関わっていると、どこまで関わって、どこから離れるべきかがわからなくなることがあります。
でも、心が傷つく関係から自分を守るためには、「境界線(バウンダリー)」を持つことがとても大切です。
では、その“境界線”は、どうやって引いていけばいいのでしょうか?
1. 「距離をとること=冷たい」ではない
まず大前提として知ってほしいのは、境界線を引くことは“冷たさ”でも“見捨てること”でもないということです。
むしろ、あなたが心を守るために必要な、健全な選択です。
距離を置くことで冷静さを取り戻したり、感情の嵐から身を引いたりできるのは、むしろ“関係を壊さないための知恵”でもあります。
2. 相手の反応より「自分の感覚」を信じる
相手がどんなに「そんなのひどい」「わがままだ」と責めてきても、あなたが不快に感じたなら、それは“ノー”でいいのです。
境界線とは、「これはOK」「これはNG」と、自分の内側にある“感覚”を基準に引くもの。
他人に決められるものではありません。
境界線は、あなた自身の「居心地の良さ」と「安心感」から生まれるもの。だからこそ、堂々と自分で決めていいのです。
3. すぐに答えず「間をとる」
相手が感情的になって迫ってきたときは、すぐに返事をしないというのも立派な境界線です。
たとえば…
-
「今は冷静に話せないから、後で話しましょう」
-
「この件は一度持ち帰らせてください」
-
「LINEは夜には見ません。返信は翌日にします」
といったように、自分の時間・リズムを守る発言をすることで、心理的にも距離を置くことができます。
4. 境界線は「明確に・静かに」伝える
境界線を伝えるときに大切なのは、怒りではなく、静かな決意のトーンです。
怒って言い返してしまうと、相手の防衛心を刺激して逆効果になりがちです。
だからこそ、淡々と、でも揺るぎなく伝えることを意識してみてください。
「伝えること」と「迎合すること」は別物です。
あなたの意思を尊重するために、はっきり伝えることが、長期的に自分を守る手段になります。
5. 境界線を破られたときは「離れる」も選択肢
どれだけ丁寧に伝えても、相手がそれを無視し続けるなら、最終的には物理的・心理的な距離をとるという判断も必要です。
あなたが歩み寄るたびに傷つけられるような関係であれば、それはもう「対話の土台」がないということ。
そんなときは、自分を守るために「離れる」ことも、立派な“自己信頼”の証です。
✦ あなたの「心の安全地帯」をつくるために
境界線は、あなたがあなたらしく生きるための“心の柵”のようなもの。
誰にどう見られても、まずはあなたが「安心できるかどうか」が一番大切です。
▶「これ以上は入らせない」
▶「これは私は受け取らない」
そんな“目に見えない選択”の積み重ねが、心の平穏を育てていきます。
あなたは、守られていい存在です。
そのためにまず、自分で「守る選択」をしていいんです。
■ これからのあなたへ:自分の人生に“主導権”を取り戻すステップ
相手の理不尽な言動や、自己中心的なふるまいに翻弄され続けると、
「私って、なんでこんなに振り回されてるんだろう?」
「どこで間違ったんだろう…」
と、自分を責めてしまいたくなることもあるかもしれません。
でも、それはあなたが悪いわけではありません。
相手に「共感」や「境界の尊重」という感覚が欠けていただけ。
あなたは、まっとうに、誠実に人と向き合おうとしただけなんです。
ここからは、自分の人生に主導権を取り戻すためのステップを、ひとつずつ確認していきましょう。
ステップ①:信頼できる人に「事実」を話す
まずは、あなたの気持ちや、これまでにあった出来事を「否定せずに受け止めてくれる人」に話すことから始めてください。
友人、家族、信頼できるカウンセラーなど
話すことで、自分の中で曖昧になっていた感情が整理されます
「誰かと共有する」ことで、あなたの視点が“おかしくなかった”ことを再確認できます。
ステップ②:「私は悪くない」と何度も心に言い聞かせる
理不尽な関係に長くいた人ほど、「自分の方が至らなかったのでは…」と無意識に自責しがちです。
でも、そう思わされたこと自体が、相手のコントロールだったのかもしれません。
鏡の前でも、ノートの中でも構いません。
何度でも、「私は悪くない」「私の感覚は正しかった」と言葉にしてみてください。
それは、自己肯定感を回復させる小さくて力強い一歩です。
ステップ③:自分が「心地よい」と感じる人・空間に身を置く
心が傷ついたあとは、「安全」や「信頼」の感覚を取り戻すことが最優先です。
無理に人付き合いを増やさなくていい
自然の中や、静かなカフェ、本の世界など——心が穏やかになる場所を大切にしてください
安心できる空間に身を置くことは、新しい自己感覚の“土台”をつくる行為です。
ステップ④:小さな「選択権」を取り戻す
不安定な関係の中では、「何を食べるか」「どこへ行くか」さえ相手に合わせていたかもしれません。
でも、これからは違います。
-
今日の服を、自分の気分で選ぶ
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今週末の予定を、自分の意思で決める
小さなことからでいい。**「私は、自分の人生を選んでいい」**という感覚を取り戻していきましょう。
ステップ⑤:未来を“取り戻す”のではなく“創り直す”
最後に大切なのは、「過去を取り返そう」としすぎないこと。
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あのとき言い返せなかった後悔
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あんな人と関わらなければよかったという悔しさ
…それらも、確かに心に残るものかもしれません。
でも今、あなたには「これからを創る力」があります。
自分の望む人生を、ここから少しずつデザインしていけばいいんです。
✦ あなたの歩幅で、あなたの人生を
誰かに振り回されたり、傷つけられたりした時間があったとしても、
それであなたの価値が下がることは一切ありません。
「選ばれる」人生ではなく、「選ぶ」人生へ。
今この瞬間から、あなた自身の手で未来を描き直すことができます。
■ 最後に:都合のいい嘘から距離をとるという選択
不倫は、嘘と責任転嫁の上に成り立っています。
その構造の中に巻き込まれ続けると、あなたの心がすり減り、自己肯定感も傷ついていきます。
だからこそ、今この瞬間から「自分の感覚」を信じてください。
相手の言葉に違和感を覚えたら、それは“あなたの正しさ”です。
自分がつらいと感じるなら、その感情こそが“真実”です。
都合のいい理屈から距離を置いて、自分の心に正直に生きること。
それが、あなたの人生を守る第一歩になります。