未来がないのに、なぜ不倫関係を続けてしまうのか?

「不倫に未来なんてない」──わかっているのに関係をやめられない理由

  • 2025年06月22日
  • 2025年06月23日

「この関係に未来なんてない」

そう心のどこかで分かっているのに、不倫相手との関係を断ち切れない──。
そんな苦しみを抱えている人は、実は少なくありません。

周囲には言えず、堂々と会うこともできず、いつも罪悪感と隣り合わせ。
それでも関係を続けてしまうのは、なぜなのか?

今回は、“未来が見えない不倫”にしがみついてしまう深層心理を掘り下げます。

■1. 「今の幸せ」を手放すのが怖いから ― 一瞬の安らぎにすがる心の構造

「この関係は続けちゃいけない」
「未来がないのは分かっている」

──それでも、なかなか手放せない。
その理由のひとつが、“今の幸せ”に対する強い執着です。

●「その瞬間だけは確かに幸せ」という記憶の罠

不倫関係では、日常では味わえない“特別な瞬間”があります。
ドキドキする逢瀬、優しい言葉、非日常の空間──。

こうした一瞬の幸福は、脳内に強く記憶されやすく、「あのときの感情だけは本物だった」という確信へと変わっていきます。
これは、記憶の美化や選択的記憶といった心理作用が働いており、“良い面だけ”が強調されることで、現実の苦しさを覆い隠してしまうのです。

● 快楽を追い続ける脳のメカニズム

人の脳は、目の前の快楽に対して非常に敏感です。
ドーパミン系の報酬回路が刺激されることで、幸福感を得ると、それを“繰り返したい”という欲求が生まれます。

この働きにより、将来の不安やリスクよりも、「今この瞬間の心地よさ」が優先されてしまいます。
たとえ未来が見えなくても、“今の安らぎ”にすがりたくなるのは、生理的に自然な反応とも言えるのです。

●「もう二度と手に入らないかもしれない」という喪失への恐怖

今の関係が終わってしまったら、あの人の笑顔も、優しい言葉も、二度と戻らない──。
そう思うだけで、心に強い恐怖が走る。

不倫相手との関係には、秘密や非日常性ゆえの“濃密な絆”が生まれやすく、そのぶん喪失感も大きくなります。
その恐怖は、「今の関係を守らなければ」という執着へと変わり、離れるという選択を鈍らせていくのです。

● サンクコストによる「終わらせたくない心理」

「ここまで好きになったのに」「もうたくさん時間を使ってきたのに」
こうした感情の背景には、サンクコスト効果(埋没費用効果)が潜んでいます。

過去に費やした時間や感情を「無駄だった」と認めるのは、非常に苦しいこと。
だからこそ、「この関係には意味がある」と思い込むことで、今の関係を続ける理由を見つけようとしてしまうのです。

■2. 「いつか変わるかも」という淡い期待 ― 叶わない未来にすがる心の正体

「もしかしたら、いつか奥さん(旦那さん)と別れてくれるかもしれない」
「今は無理でも、状況が変われば一緒になれるかもしれない」

──頭では無理だとわかっているのに、心のどこかで希望を捨てきれない。
それが、不倫関係における“淡い期待”の根底にある心理です。

●「奇跡」を信じることで自分を保つ

人間には、苦しい状況でも「希望」を見出すことで心の安定を保とうとする本能的な仕組みがあります。心理学ではこれを「希望バイアス(Hope Bias)」と呼び、不確実な未来に対して根拠のない楽観を持ちやすいことが知られています。

たとえば、

・相手が家庭の愚痴をこぼした
・「本当は一緒にいたい」と言ってくれた
・特別な日に連絡をくれた

こうした些細な出来事は、客観的に見れば未来を保証するものではありません。しかし、関係にすがる側にとっては「これがサインかもしれない」と、心を支える“根拠ある希望”に変わっていきます。

● サンクコスト効果:引き返せないという錯覚

「ここまで好きになったのに、いまさら後戻りなんてできない」
「何年も待ってきたのだから、きっと意味があるはず」

これは心理学でいう“サンクコスト効果(埋没費用効果)”によるものです。
人は、一度投資した「時間・感情・労力」を失いたくないという気持ちから、その関係にさらに執着してしまいます。

不倫関係が長く続けば続くほど、「途中でやめるのは損だ」と感じてしまうのは、決して人の弱さではなく、人間の思考のクセなのです。

● 確証バイアス:見たいものしか見えなくなる

「彼(彼女)は本当は優しい」
「私といるときは笑ってくれる」

相手の好意的な言動だけを拾い上げて、それを未来への“希望の証拠”と捉える。これを「確証バイアス(Confirmation Bias)」といいます。逆に、相手が現実には何も行動を変えていない、冷たくなってきている、連絡が減っている──といった“都合の悪い事実”には、意識が向かなくなるのです。

心は、自分を守るために「都合の良い現実」を構築しようとします。しかしその優しさは、時にあなたを真実から遠ざけ、苦しみのループに閉じ込めてしまいます。

● 認知的不協和:自分の選択を否定できない葛藤

「ここで終わらせたら、自分が選んだことが間違いだったってことになる」
「好きになった自分を否定したくない」

そんな気持ちの裏には、“認知的不協和(Cognitive Dissonance)”という心理的な葛藤があります。
人は、自分の選択や行動が「間違っていた」と認めることに強いストレスを感じます。そのため、「いつか報われるはず」と考えることで、自分の行動と感情の整合性を保とうとするのです。

このような心理の働きが、結果として「現実には変わらない相手」を信じ続けてしまう原因にもなります。

● 小さな「希望体験」が積み重なる罠

誕生日におめでとうと言ってくれた
体調が悪いときに心配してくれた
些細なLINEの一言に癒された

そうした小さな成功体験が、「この人と一緒にいたい」という想いを強化します。それはまるで、砂漠の中で見つけた小さな水たまりのように、乾いた心を潤す“奇跡”に感じられるのです。

しかし本当の問題は、その水たまりが“オアシス”ではないということ。
一時の潤いはくれるけれど、そこには“永続する約束”も“共に歩む未来”も存在しない。
それでも「この奇跡は続くかもしれない」と願ってしまう──それが、“淡い期待”の正体なのです。

■3. 「やめる理由より、続ける理由を探してしまう」 ― 心を守る“正当化”という名の鎧

「こんな関係、もうやめたほうがいい」
そう思う瞬間は、きっと何度もあったはずです。

でも、そのたびにふと頭をよぎるのは──

「でも、あの人が笑ってくれたときの顔が忘れられない」
「辛かったとき、そばにいてくれたのはあの人だった」
「他の誰でもなく、あの人じゃなきゃダメなんだ」

気づけば、やめる理由より“続ける理由”を一生懸命探している自分がいるのです。

● 自分の感情を否定したくない心理

人は、自分が感じたこと・選んだことを「間違いだった」と認めることに、大きなストレスを感じます。
それは、「自分自身を否定すること」にもつながるからです。

そのため、たとえ不倫という関係が間違っていると分かっていても、

「でも、これはただの遊びじゃなかった」
「気持ちは本物だった」と、自分の想いを正当化する理由を探し始めます。

これは、**「自分を守るための心理的防衛反応」**なのです。

● 認知的不協和が生む“継続の罠”

不倫をやめたい気持ちと、好きでいたい気持ち。
この2つの感情が同時に存在すると、心の中には葛藤(=認知的不協和)が生まれます。

そしてこの不協和を減らそうとするために、

「やめたら後悔するかもしれない」
「関係が深まっている今こそ大事な時期かも」

と、“続ける理由”を積極的に探して自分を納得させようとするのです。

これは「納得したい」からというより、「矛盾に耐えられない」から。
だからこそ、人は現状を正当化し続けてしまいます。

● 執着と依存が“愛”にすり替わる

最初は「好き」だった気持ちが、時間とともに「執着」や「依存」に変わっていくことがあります。
しかし人は、それを認めるのがとても苦手です。

「これは依存じゃない。愛なんだ」
「自分の心が弱いわけじゃない。強く惹かれてるだけ」

そうやって**“愛”という言葉に置き換えて、関係を続ける理由を作ってしまう**。
でも実際には、それは「必要とされたい」「見捨てられたくない」「空白を埋めたい」という、心の空洞を埋めるための執着であることも少なくありません。

● 「他の選択肢」が見えなくなる視野の狭まり

不倫関係にあるとき、人の視野は狭くなりがちです。
“その人だけ”に意識が集中し、「他の道」や「他の可能性」が見えなくなっていきます。

本当は、もっと健全で自分を大切にしてくれる関係があるかもしれない。
本当は、自分一人でも立ち上がれる強さを持っているかもしれない。

けれど、「他にはもう何もない」と感じてしまうことで、
「この関係を失いたくない」という思いがさらに強まります。
その結果、別れの理由より、継続の言い訳ばかりを心が探してしまうのです。

■4. 自分を大切にする視点を見失っている ― 愛される価値を他人に委ねてしまうとき

不倫関係に苦しんでいる人の多くが、知らず知らずのうちに「自分を大切にする視点」を見失っています。
それは、「相手に愛されているかどうか」に、自分の価値や存在意義を重ねてしまっているからです。

● 自分を後回しにしてしまう関係

「会えるのは平日だけ、しかも短時間」
「誕生日やクリスマスは、ひとりで過ごすのが当たり前」
「連絡が来るのは、相手の都合のいいときだけ」

──それなのに、「私が我慢すればうまくいく」と思ってしまう。

本来、恋愛は“対等”なもののはずです。
けれど、不倫関係では立場が一方的に不利になることが多く、自分の気持ちを押し殺し、相手の都合に合わせるのが当たり前になってしまいます。

その結果、「自分の気持ちに正直になること」が怖くなり、「求めること」すら悪だと感じるようになるのです。

● 「愛されている」という錯覚にすがる理由

たまに優しくしてくれる
たまに気にかけてくれる
たまに名前を呼んでくれる

この「たまに」が、心を強く揺さぶります。
その瞬間に、孤独が一気に癒やされるような感覚になるからです。

でも本当は、それは**愛ではなく「心理的報酬」**にすぎないこともあります。
ごくわずかな好意にすがり、「やっぱり愛されてる」と自分に言い聞かせてしまう。
そうしないと、自分の存在が崩れてしまいそうになるからです。

● 自己価値を“他人の反応”で測るようになってしまう

「連絡が来ないと不安になる」
「冷たい言葉に深く傷ついてしまう」
「会えないことが、自分の価値のなさのように感じてしまう」

これは、自分の価値を“相手の態度”で判断してしまっている状態です。
本来であれば、自分の存在価値は「誰かにどう扱われるか」ではなく、「自分自身がどう生きるか」によって決まるもの。

けれど、愛されたい気持ちが強すぎると、「認められなければ価値がない」という思い込みが心に刷り込まれていきます。
その結果、相手の評価がすべてになり、自分の感情を後回しにする生き方が習慣化してしまうのです。

●「私なんて」が口癖になる危うさ

「どうせ私は本命じゃないし…」
「こんな自分に本気になってくれるわけない」

そうやって、自分を卑下する言葉が口癖になっていませんか?
それは、過去に積み重ねてきた傷つき体験や、相手からの不平等な扱いが、自己否定として根付いてしまった結果かもしれません。

でも、それは本来のあなたではありません。
あなたの価値は、誰かに選ばれるかどうかではなく、あなた自身が“自分を選ぶ”かどうかで決まるのです。

■5. “終わった後”への恐怖が、断ち切れない鎖になる ― 空白と孤独を想像できない心の防衛本能

「この関係を終わらせたら、私はどうなってしまうんだろう」
「もう二度と、誰かに愛されることなんてないかもしれない」

そんな漠然とした不安が、あなたをいまの関係に縛りつけていることはありませんか?

未来に確証がなくても、不確かな今の関係にしがみついてしまう――その背後には、“終わった後”を想像することが怖すぎる心理が潜んでいます。

●「ひとりになる不安」が決断を鈍らせる

人は、未知の未来よりも、たとえ不安定でも“慣れた現在”を選びがちです。
心理学ではこれを**「現状維持バイアス」**と呼び、変化によって生じるストレスを避けようとする心の防衛反応だとされています。

特に不倫関係では、「離れたあとの自分」がまるで宙ぶらりんになってしまうような感覚に襲われます。

・もう誰とも深い関係を築けないかもしれない
・孤独に押しつぶされるかもしれない
・あの人との記憶だけが残り、前に進めなくなるかもしれない

──こうした“終わったあとの空白”を想像することが、強い恐怖となり、関係を手放す勇気を奪っていくのです。

●「依存していた時間」が抜け落ちる虚無感

不倫関係が長く続いた場合、その人との関係が日常の一部になっていきます。

・目が覚めたときに最初に思い出す相手
・嬉しいことも悲しいことも真っ先に共有したくなる存在
・どこかで常にその人を意識して行動している自分

そんなふうに、日常の感情がその人を中心に回るようになると、「終わる」=「自分の生活が崩れる」という錯覚が生まれます。

相手がいなくなったあと、自分の心の中にポッカリと空いた時間、習慣、感情のすべてが虚しさへと変わり、耐えられないような喪失感を引き起こす──。
その予感が、決断を後回しにしてしまうのです。

●「この先の幸せが見えない」という思い込み

不倫関係が長くなればなるほど、「あの人以外に、自分を理解してくれる人なんていない」と感じてしまいがちです。
その感覚は、自尊心の低下や、他者との関係性が制限された環境で育まれる“思い込み”であることが多いのですが、本人にとっては切実な「現実」に思えてしまいます。

この思い込みが強くなると、

「関係を終わらせた先に幸せはない」
「こんな私を受け入れてくれる人なんてもう現れない」

という無力感と諦めが、心に根を下ろしていきます。
そしてその無力感が、「今だけでもいいから一緒にいたい」という依存的な欲求を助長してしまうのです。

●「後悔したくない」という幻想が、鎖になる

「もし終わらせて後悔したらどうしよう」
「やっぱり続けておけばよかったと思ったら…」

こうした“未来への後悔”を恐れる気持ちは、人間の本能的な感情です。
ですが、それが強すぎると、「後悔しないために続ける」という本末転倒な選択をしてしまうことになります。

その選択は、もはや「幸せになるため」ではなく、「傷つかないため」「後悔しないため」の自己防衛。
結果として、あなたの時間と心は、不確かな関係の中でどんどん消耗されていくことになるのです。

■6. 承認欲求のはけ口としての不倫 ―「認められたい心」が関係を終わらせられなくする

「誰かに必要とされたい」
「誰かに愛されていると実感したい」
「存在価値を感じていたい」

そうした強い思いが、不倫という形で噴き出してしまうことがあります。
それは決して不道徳だからというだけではなく、心の奥にある“満たされなさ”が原因であることが多いのです。

● 家庭や職場での「不完全燃焼」が心の渇きを生む

家庭では、「母親」「妻」「家族の世話係」としての役割ばかりを期待される。
職場では、成果よりも効率や従順さばかりが求められる。

そんな日常の中で、「一人の人間としての自分」が認められないと感じたとき、
人は“自分の価値”を証明できる場を、どこかで探し始めます。

不倫相手からの

・「キレイだね」
・「がんばってるよね」
・「君が必要だ」

そんな一言が、砂漠に落ちた一滴の水のように心を潤し、承認欲求を満たしてくれる“特別な存在”に変わっていくのです。

● 不倫関係は「手っ取り早く満たせる優越感」になりやすい

心理学では、承認欲求を満たされない状態が長く続くと、人は“歪んだ形”でその欲求を埋めようとする傾向があるとされています。

不倫という関係には、

・誰にも知られていない秘密の関係
・特別扱いされているという感覚
・家庭のある人から選ばれているという優越感

──といった、「非日常的で刺激的な肯定感」が凝縮されており、満たされなかった自己評価を一時的に高めてくれる作用があります。

この快感は強烈で、現実の自己像がいかに疲れ切っていても、
「この人にとっての自分は、誰よりも特別」
という幻想によって、自分を支えてしまうのです。

● 愛されたいのではなく、「認められたい」だけかもしれない

実は、「愛されたい」という感情の裏には、
「自分の価値を確認したい」「否定されたくない」という深い承認欲求が隠れていることがあります。

本当に欲しいのは“愛”ではなく、

・誰かに必要とされているという感覚
・存在を認められる実感
・自分にも魅力があるという証明

──こうした自己肯定感の確認作業である場合が少なくないのです。
だからこそ、不倫関係が破綻しそうになると、自尊心が揺らぎ、「もう誰にも認めてもらえないのでは」という不安に陥ります。

● 自分の価値を“他人の評価”でしか測れなくなる

相手の言動ひとつで、一喜一憂する。
褒められれば安心し、無視されれば絶望する。
連絡が来なければ「嫌われた」と感じ、会ってもらえれば「やっぱり愛されてる」と思い込む。

こうして、他人の反応を通じてしか自己評価を確立できない状態が続くと、ますます相手への依存が強くなり、関係を断ち切れなくなっていきます。

そして、自分の価値を「誰かに選ばれること」でしか感じられないようになってしまうのです。

■7. 「リスクを取ってでも得たいもの」が強すぎる ― 欲望とスリルが理性を超える瞬間

不倫は、失うものが多い関係です。
社会的信用、家族、配偶者との信頼、自尊心──そのどれもが大きなリスクを背負っています。

それでも、「やめられない」「むしろ、どんどん深みにハマっていく」という人は少なくありません。

なぜ、人はこれほどまでに“危うい関係”に惹かれてしまうのでしょうか。
そこには、**理性を凌駕する“感情の報酬”**が隠れています。

● スリルと快感は、人を強く依存させる

不倫関係には「バレてはいけない」「人に言えない」という緊張感が常につきまといます。
この緊張感こそが、ドーパミンを大量に分泌させ、通常の恋愛よりも強い快感を生み出すことが知られています。

・誰にも見られないように待ち合わせる背徳感
・一緒に過ごす短い時間に感じる高揚感
・秘密を共有することで生まれる特別感

これらは脳にとって非常に強い刺激となり、「もっと欲しい」「もっと深く関わりたい」という快楽依存を引き起こします。

結果として、「リスクを冒してでも得たい」欲望が、自分でも制御できないほど大きくなってしまうのです。

● 禁じられた関係ほど「価値」が高く見えてしまう心理

心理学では、手に入りにくいものほど「価値が高い」と感じてしまうことを希少性の原理と呼びます。
不倫関係はまさにこの典型です。

・人前では会えない
・予定が合わない
・誕生日や記念日を一緒に過ごせない

──そんな“制限の多い関係”だからこそ、
「だからこそこの関係は特別なんだ」
「乗り越えた先にはもっと深い絆があるはずだ」
と、制限が関係の価値を高めるという幻想が生まれてしまうのです。

その結果、「リスクがあるからこそ燃える」「失えない」と感じ、より一層手放せなくなっていきます。

●「欲しい気持ち」が大きすぎると、現実が見えなくなる

・誰よりも特別な存在でいたい
・愛されている実感がほしい
・選ばれたい、勝ち取りたい

こうした“得たいもの”が強くなりすぎると、現実のデメリットが視界から消えるようになります。
相手の無責任な言動や将来性のなさ、不公平な扱いにも、「でも、それ以上に好きだから」と目をつぶってしまう。

冷静に考えれば、「このままでは幸せになれない」と分かっているのに、
「でも、今だけは幸せでいたい」と、“目の前の欲”を優先してしまう。

これは、いわば**“感情が理性を上書きする状態”**です。

●「代償が大きいほど、愛も本物に思える」錯覚

大きなリスクや犠牲を払っている関係ほど、
「これだけ犠牲にしているのだから、愛が本物じゃないと報われない」
「私はここまでしてきた。だからきっと、この人は特別なんだ」

──という、認知的不協和を解消するための自己正当化が働きやすくなります。
結果として、「引き返せない」「途中で終わらせたら無意味になる」と感じ、関係がさらに深まってしまうのです。

■8. 他者からの期待や役割に縛られる重圧からの解放

「良き妻でいなければ」
「母親としてしっかりしないと」
「周囲の期待に応えなければ」

そんな役割に押しつぶされそうな日々の中で、
ふと現れた「自分を責めずにいてくれる存在」
それが、不倫相手だったという人も少なくありません。

● 誰にも見せられない「素の自分」が、そこにある

不倫相手との時間には、
「母として」「妻として」「社会人として」といった役割から一時的に解放され、
ただ“ひとりの人間”として、無条件に受け入れてもらえているような感覚があります。

・身なりを整えなくても「かわいい」と言ってくれる
・弱音を吐いても「大丈夫だよ」と受け止めてくれる
・何も頑張らなくても、そばにいてくれる

──そんな安心感が、「役割」ではなく「私自身」が肯定されているように感じられ、
それまで張りつめていた心が、ふと緩む瞬間をくれるのです。

● 「こうあるべき」に疲れ果てた心が、逃げ場を求めている

社会や家庭の中では、無意識のうちに「期待される姿」を演じ続けています。

・家族のために笑顔でいること
・感情を抑えて人に尽くすこと
・自分の希望より周囲を優先すること

その結果、「本当はどうしたいのか」もわからなくなってしまう。
心の奥では泣いているのに、誰にも気づかれない。
頑張っても報われない。
言いたいことがあっても飲み込んでしまう。

そんな毎日を続けていると、“誰かに甘えられる場所”や“役割を脱ぎ捨てられる関係”に、強く惹かれてしまうのです。

● 「自分らしくいられる」関係に、依存してしまう危うさ

一時的にでも「素の自分」でいられる時間は、心にとって貴重な救いです。
けれど、それが不倫という不安定な関係であった場合、
やがては“癒し”から“依存”へと変わっていく危険性があります。

・その人がいなければ、呼吸が苦しいように感じる
・自分の存在価値が、相手にかかっている気がする
・離れることを考えるだけで、強い不安に襲われる

こうした感情は、自分を見失い始めているサインかもしれません。
「自分らしさ」を保つために必要なのは、**“誰かに与えられる関係”ではなく、“自分の内側から築ける安心感”**です。

● あなたの価値は「役割」ではなく「存在そのもの」

どんなに役割をこなしても、
どんなに期待に応えても、
本当の自分を見てもらえなければ、心は満たされません。

でも、それを誰か“外の人”に埋めてもらおうとすると、
いつか限界がきてしまいます。
なぜなら、あなたが心から求めているのは、
「こうあるべき姿のあなた」ではなく、
**「どんなときも存在を受け入れられるあなた自身」**だからです。

■9. 時間的・心理的投資の呪縛(サンクコスト効果)

「ここまで一緒にいた時間がある」
「こんなにも感情を注いできたのに、手放すなんてできない」
「いま諦めたら、これまでのすべてが無駄になる気がする」

そんな思いが、頭のどこかに居座っていませんか?

本当は「もうやめたほうがいい」と分かっているのに、気づかないふりをして関係を続けてしまう。
その背景には、**“過去の投資を無駄にしたくない”という心理(サンクコスト効果)**が深く関係しています。

● サンクコスト効果とは何か

サンクコストとは、すでに使ってしまって回収不可能な「時間・労力・感情」のことです。
心理学では、この過去の投資があると、人は「損をしたくない」という心理から、合理的な判断よりも**“続けること”を優先してしまう**傾向があります。

不倫関係でも、

・これまで隠れて会い続けた時間
・相手に尽くしてきた労力
・心のすべてを預けてきた想い

──それらが大きければ大きいほど、「もう引き返せない」と感じ、関係を終わらせることが難しくなっていきます。

● 「やめる」ことが「失敗」だと感じてしまう

恋愛は本来、自由な選択であるはずです。
でも、不倫関係においては、自分の感情だけではなく、“選択に対する責任感”が絡み始めます。

・「私はあの人を信じた」
・「周囲を裏切ってでも、選んできた」
・「ここまで来たのに、“失敗”だったなんて思いたくない」

このような想いが、「途中でやめる」ことを“敗北”や“裏切り”と感じさせ、
あたかも“最後まで貫くことが誠実”であるかのような錯覚を生み出します。

でもそれは、あなた自身を苦しめ続ける正当化かもしれません。

● “今まで”ではなく、“これから”を基準にする

サンクコスト効果の罠に陥っているとき、私たちは「これまでに費やしたもの」ばかりに目を向けてしまいます。
けれど、本当に大切なのは、

「これから、どんな未来が待っているのか」
「この関係を続けて、私は幸せになれるのか」

という“前向きな問い”です。

すでに失ったものは、どれだけ惜しんでも戻ってきません。
でも、これからの時間や心をどう使うかは、まだ自由に選べるのです。

● 自分を縛っているのは「過去」ではなく「思い込み」

「やめるのが怖い」
「損したくない」
「無駄にしたくない」

──そう思っているとき、実は一番損しているのは、“本当に必要なものを見失っている今”かもしれません。

あなたがこれまで注いできた愛情や努力は、決して無駄ではありません。
たとえその関係が終わっても、その経験を経て気づけたことや、感じたことすべてが、あなたの人生の糧になるのです。

■10. 「終わりにする決断」を先延ばしにする習慣化

不倫関係を続けている人に共通して見られる心理のひとつが、「終わらせなければ」と頭では理解していても、実際の決断を先延ばしにしてしまうことです。

「いつか決めよう」
「もう少し様子を見てから」
「今はまだ踏ん切りがつかない」

こうした言葉が、知らず知らずのうちに何度も心の中で繰り返され、断ち切るべき関係を引き延ばしてしまう習慣になっていくのです。

● 現状維持バイアスが決断を鈍らせる

心理学では、人は「変化よりも現状を維持すること」を無意識に選びやすい傾向を現状維持バイアスと呼びます。
このバイアスは、決断によるリスクや不安を避けようとする防衛本能の一種です。

不倫を終わらせる決断は、

・孤独や社会的な非難への恐怖
・生活の大きな変化による不安
・これまで築いてきた感情や習慣を失う寂しさ

など、精神的に負担が大きく、決断に伴う心理的コストが高いことから、現状維持を選びやすくなります。

● 決断の先延ばしは「感情の摩耗」も生む

先延ばしを続けるうちに、関係が持つ不安や罪悪感、葛藤は積み重なっていきます。
その結果、感情が疲弊し、やがて「どうでもよくなる」「諦めてしまう」といった無力感や麻痺状態に陥ることも少なくありません。

この状態は決して“解放”ではなく、むしろ心の防衛機能が機能不全を起こし、感情のバランスを崩してしまったサインです。

● 決断できない自分を責める悪循環

決断を先延ばしにする自分に対して、自己嫌悪や罪悪感を感じる人も多いでしょう。

「どうして決められないのか」
「情けない自分」

こうしたネガティブな感情が積み重なると、さらに決断が難しくなり、負のスパイラルに陥ってしまいます。

● 小さな決断から始めて「行動の習慣化」をつくる

大きな決断は恐怖や不安を伴うため、いきなり完璧にやめることは難しいかもしれません。
そこでおすすめなのは、まず「小さな一歩」を踏み出すことです。

・相手との連絡頻度を少し減らしてみる
・自分の時間を増やして趣味や友人との時間を充実させる
・心のモヤモヤを書き出して整理する

こうした小さな行動を習慣化することで、少しずつ心が整理され、決断に向けた準備が整っていきます。

■まとめ:本当に「失いたくないもの」は何かを考えて

不倫に未来がないと分かっているのにやめられないとき、人は「心の空白」や「不安」から逃げようとしていることが多いものです。

でも、その関係に自分の人生を預けてしまうことは、もっと大切な未来を遠ざけてしまうリスクにもなります。

「今この瞬間の幸せ」と引き換えに、あなたが本当に失いたくないものはなんですか?

愛する人に大切にされる未来。
心から信じ合える関係。
そして、後悔のない自分自身。

そのすべては、「未来がない関係」ではなく、あなた自身が望む幸せのために生きる選択の先にあるのかもしれません。

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