本人訴訟の手順について

本人訴訟で不貞の慰謝料を請求する手順

  • 2024年09月17日
  • 2024年09月30日

不貞行為による慰謝料を請求するために「本人訴訟」を行う場合、弁護士を立てずに自分で裁判を進めることになります。

手続きにはいくつかの段階があり、それぞれに法的な要件を満たす必要があります。ここでは、本人訴訟で慰謝料請求をする手順を詳しく説明します。

1. 証拠の準備

まず、慰謝料を請求するためには、不貞行為があったことを証明する証拠が必要です。不貞行為を立証するための証拠が不十分だと、裁判に勝つのは難しくなります。以下のような証拠を集めることが重要です。

1.1. 不貞行為の証拠

  • 浮気の事実を示す証拠:浮気相手とのLINEやメール、通話履歴、SNSのやり取りなど。
  • 不倫の写真や動画:不倫相手と密会している場面やホテルに出入りする写真や動画。
  • 探偵の調査報告書:探偵に依頼して浮気の証拠を収集した場合、その報告書も証拠となります。
  • レシートやクレジットカードの明細:配偶者が浮気相手と一緒に出かけた際の記録。

1.2. 精神的苦痛の証拠

  • 診断書:不貞行為によって精神的に苦しんでいる場合、医師からの診断書を取得することも有効です。
  • 手紙やメール:配偶者との関係における精神的な苦痛を証明できる文書がある場合、それも証拠として使用できます。

2. 管轄裁判所を選ぶ

不貞行為による慰謝料請求訴訟は、通常、家庭裁判所ではなく「地方裁判所」や「簡易裁判所」で行います。訴える金額によって管轄が変わるため、どちらに訴訟を起こすべきかを確認します。

  • 簡易裁判所:請求額が140万円以下の場合
  • 地方裁判所:請求額が140万円を超える場合

また、裁判所の地域的な管轄もあります。通常は以下の場所にある裁判所に訴訟を提起できます。

  • 被告(浮気相手)の住所地の裁判所
  • 不貞行為が行われた場所の裁判所
  • 自分の住所地の裁判所(場合によっては)

3. 訴状の作成

次に、裁判を開始するために「訴状」を作成します。訴状は、裁判所に提出する正式な書類であり、請求する金額や請求理由、不貞行為の詳細を記載します。

訴状に記載する項目

1.当事者情報:自分(原告)と相手方(被告)の名前、住所、連絡先
2.請求の趣旨:具体的な請求内容(たとえば、「被告に対して〇〇円の慰謝料を支払え」)
3.請求の原因:請求の理由となる事実の説明(たとえば、「被告と配偶者の不貞行為があったこと」)配偶者と被告がどのような関係にあったのか

  • 不貞行為がいつ、どこで行われたのか
  • 自分がどのようにしてその事実を知ったのか
  • その結果としてどれだけの精神的苦痛を受けたのか

 

4.証拠の提出:証拠の一覧と、それらがどのように不貞行為を証明するのかを説明する。

訴状の例

請求の趣旨
被告は、原告に対して慰謝料として〇〇円を支払え。 請求の原因 原告は被告と婚姻関係にあるA(配偶者)との関係において、被告が原告の配偶者Aと不貞行為を行ったため、原告は大きな精神的苦痛を受けました。不貞行為は、〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までの間に行われました。原告はこの事実を〇年〇月〇日に確認し、その証拠として〇〇があります。このため、原告は被告に対して慰謝料として〇〇円を請求するものです。

4. 訴状の提出

訴状が完成したら、次に裁判所に提出します。提出には以下のステップを踏みます。

4.1. 提出先

選んだ管轄の裁判所に直接訴状を提出します。郵送も可能ですが、直接持参する方が手続きが確実で迅速です。

4.2. 添付書類

訴状には以下の書類を添付します:

  • 証拠書類のコピー(原本は後ほど裁判所に提出)
  • 住民票など、自分の身分証明書
  • 印紙代:訴額に応じた印紙を購入し、訴状に貼り付けます。印紙代は請求金額によって異なります。
  • 予納郵便切手:訴状の写しを相手方に送るための郵便切手を裁判所に納めます。必要な額は裁判所によって異なるため、事前に確認してください。

5. 裁判の進行

訴状を提出した後、裁判が開始されます。裁判所から被告に対して訴状が送付され、被告がそれに対して「答弁書」を提出します。その後、裁判が進行します。

5.1. 第1回口頭弁論

裁判の初回の口頭弁論(公開の法廷)は、訴状提出後に日程が決まります。通常は、1~2ヶ月後に行われます。第1回口頭弁論では、以下のことが行われます。

  • 裁判官が双方の主張を確認:自分と相手方の意見や証拠を確認します。
  • 証拠の提示:集めた証拠を裁判官に提出します。

5.2. 書面のやり取り(準備書面)

第1回口頭弁論以降、双方の主張や証拠を整理するために、書面でやり取りを行うことが多くあります。この書面を「準備書面」といい、弁護士がいない場合は自分で作成することになります。

6. 証人尋問

証人尋問の段階では、配偶者や浮気相手、場合によっては自分自身が証言台に立つことになります。この段階で裁判官が不貞行為があったかどうかを判断します。

7. 判決の言い渡し

裁判所が双方の主張と証拠を検討し、最終的に判決を言い渡します。判決が出ると、相手方は慰謝料を支払う義務を負います。

8. 強制執行の準備

判決が出ても、相手が支払わない場合は、強制執行の手続きを進めます。強制執行は、相手の財産(給与や銀行口座など)を差し押さえることによって慰謝料を回収する手続きです。

まとめ

本人訴訟で不貞行為による慰謝料請求を行う手順は以下の通りです。

  1. 証拠の収集:浮気や精神的苦痛を証明する証拠を準備。
  2. 管轄裁判所の選定:請求額に応じて簡易裁判所か地方裁判所を選ぶ。
  3. 訴状の作成:請求理由や証拠を明記した訴状を作成。
  4. 訴状の提出:裁判所に訴状を提出し、印紙代や切手を納付。
  5. 裁判の進行:口頭弁論や証人尋問を通じて裁判が進行。
  6. 判決:裁判所から慰謝料の支払い命令を得る。
  7. 強制執行:支払いがない場合、相手の財産を差し押さえる。

 

本人訴訟は手続きが複雑ですが、法的知識があれば自分で進めることも可能です。

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