不倫相手に慰謝料を請求する裁判の準備書面の書き方
- 2024年10月05日
- 2024年10月06日
不倫による慰謝料請求裁判の「準備書面」は、訴訟の進行において原告側の主張を詳細にまとめ、証拠を提示するための重要な書類です。準備書面には、事実関係を整理し、証拠との関連を説明することが求められます。以下に、準備書面の書式や書く内容など、必要な情報を詳しく解説します。
1. 準備書面のレイアウト・書式
裁判所への提出書類は形式に則り、正確かつ明確に記述することが求められます。準備書面の一般的なレイアウトや書式、文字数についての概要は以下の通りです。
1.1. フォーマット
- 用紙:A4サイズの白紙(縦書きでも横書きでも可)
- 文字サイズ:10.5~12ポイント(通常のフォントサイズ)
- フォント:明朝体やゴシック体(パソコンでの作成が一般的)
- 行間:適度な余白を確保(1.5~2行間が推奨)
- 段落番号:各項目に番号を付ける(例:1、2、3など)
- マージン:上下左右に適度な余白(20~30mm程度)
- ページ番号:右上にページ数を記載
- 1ページあたりの文字数: 約800~1,200文字が一般的です。準備書面全体としては、事案の内容に応じて数ページから10ページ以上になることもあります。
1.2. 書式の構成(例)
準備書面の標準的な構成は以下の通りです。
1 表題
「準備書面第○号」や「準備書面(反論)」など、文書の内容に応じた表題を記載します。
2
提出日
提出する日付を明記します。
3
事件番号・裁判所名・当事者名
裁判所から付与された事件番号、裁判所名(○○地方裁判所)、当事者(原告と被告)の氏名や住所を記載します。
4
概要・主張の要点
原告の主張や被告の反論に対する意見を簡潔に記述します。具体的な根拠となる事実や証拠を示す前に、争点の要約を述べます。
5
事実関係
慰謝料請求の根拠となる不倫行為の時系列や経緯を詳細に記載します。
6
証拠との関連
証拠番号(甲第○号証など)を用いて、不倫行為や精神的苦痛が立証されることを主張します。
7
法的根拠
民法第709条(不法行為に基づく損害賠償請求)や第710条(精神的損害の賠償)などの法律を引用し、自らの主張が法的に正当であることを示します。
8
請求内容
慰謝料の金額やその内訳、支払い期限などを記載します。
9
結論
慰謝料請求が正当であることを再度強調し、支払いを求める主張を締めくくります。
1.3. 文字数や分量
準備書面の分量は裁判の争点や主張の複雑さによりますが、一般的に5~10ページ程度が目安となります。簡潔かつ論理的に記述することが重要で、主張が多い場合でも必要以上に冗長にならないよう注意します。
2. 記載事項の詳細
2.1. 表題・提出日
書類の冒頭に「準備書面第○号」や「準備書面(反論)」などを記載し、提出日も明記します。裁判の段階に応じて書類の性質が変わるため、表題は重要です。
例:準備書面第1号 令和○○年○○月○○日
2.2. 事件番号・当事者情報
事件番号、原告・被告の名前、住所を正確に記載します。これは裁判に付随する正式な書類としての識別に必要です。
例:事件番号:令和○○年(ワ)第○○号 原告:△△△(あなたの氏名・住所) 被告:□□□(不倫相手の氏名・住所)
2.3. 概要・主張の要約
主張の内容を簡潔にまとめ、準備書面全体の流れを先に提示します。例えば、不貞行為によって原告が精神的苦痛を受けた事実や、それに対する慰謝料請求の正当性を述べます。
例:本準備書面において、原告は被告□□□と原告配偶者○○との不貞行為の存在を証拠に基づき立証し、その結果として原告が精神的損害を被ったことを主張する。また、これに基づき被告に対する慰謝料請求が正当であることを示す。
2.4. 事実関係の詳細
慰謝料請求の根拠となる不貞行為の事実を時系列に沿って具体的に説明します。この際、証拠がある場合は「甲第○号証」などとして証拠番号を記載します。
例:1. 被告と配偶者○○は、令和○○年○○月頃より不貞関係にあった。これについて、被告□□□が○○年○○日に○○ホテルに宿泊したことが確認されている(甲第1号証)。 2. さらに、同年○○月○○日からのLINEメッセージのやり取りには、恋愛関係を裏付ける文言が多数含まれている(甲第2号証)。
2.5. 法的根拠
法的にどのような根拠に基づいて慰謝料請求が行われているのかを明示します。主に民法第709条および第710条が根拠となります。
例:被告の行為は、民法第709条に定める不法行為に該当し、また、原告の精神的損害については民法第710条に基づく慰謝料請求が可能である。
2.6. 請求内容
慰謝料として請求する金額を明記し、その金額の根拠を説明します。精神的苦痛の程度や、不貞行為の期間や頻度などを考慮して、金額を具体的に示します。
例:よって、原告は被告に対し、精神的苦痛に対する慰謝料として金○○万円を請求する。
3. 提出方法や期限
3.1. 提出方法
準備書面は、裁判所に対して直接提出するか、郵送で送付します。また、原告と被告の双方が互いに提出物を確認できるよう、相手方にもコピーを送る必要があります。
- 裁判所に提出:裁判所の書記官窓口に直接提出するか、郵送します。
- 相手方に送付:相手方(被告)にも同一の準備書面を送付します。送付したことを証明するために、書留など記録が残る方法で送付するのが一般的です。
3.2. 提出期限
提出期限は裁判所から指定されるため、その指示に従う必要があります。通常、口頭弁論や期日までに提出することが求められます。提出期限を守らなかった場合、裁判の進行に影響が出ることもあるため、余裕を持って作成し、期限に間に合うよう準備を進めます。
4.まとめ
準備書面は、裁判において自らの主張を効果的に伝えるための重要な書類です。不倫による慰謝料請求裁判においては、事実関係を整理し、証拠に基づいた主張を簡潔かつ論理的に記述することが求められます。準備書面の内容や書式は、事件の複雑さや証拠の量に応じて調整し、提出方法や期限についても十分に注意が必要です。