浮気する人は自己愛が強い?──横浜の探偵が解き明かす”ナルシシズムとの関係”
- 2025年12月23日
- 2025年12月30日
「謝罪しても、不倫を繰り返す」──
その裏には浮気者特有の“自己愛の罠”が潜んでいる可能性があります。浮気を繰り返す人には、共感性の欠如、責任転嫁、自分に都合のいい正当化など、ナルシシズムに特有の心理傾向が多く見られます。
口では反省しているように見えても、行動は変わらない。なぜそのような矛盾が成立してしまうのか。私たち探偵は、数々の調査を通じて“浮気を繰り返す人の共通点”を目の当たりにしてきました。
本記事では、なぜ反省しているように見えても同じ過ちを繰り返すのか、その行動の本質と危険性を現実的な視点から解説します。
■1. 浮気の背後にある“見えにくい動機”とは
浮気というと「欲望に負けた」「魔が差した」という表面的な説明がよくされますが、探偵として数多くの浮気調査を行ってきた中で、もっと根深い心理構造を感じることが多くあります。
その一つが“自己愛”──つまり、自分を特別視し、他人よりも優先しようとする内面の傾向です。本人に自覚はなくても、行動にその傾向が強くにじみ出るのが、自己愛型の浮気です。
●表面的な理由では説明できないケースが多い
浮気の言い訳でよく耳にするのは「魔が差した」「寂しかった」「家庭に不満があった」などの言葉ですが、実際の調査現場では、それだけでは説明できないほど繰り返し浮気をする人が存在します。
これは、偶発的な行動ではなく、内面にある欲求や傾向が行動として定着していることを意味しています。
●繰り返す人の内面には“自己愛”が潜んでいる
一見自信に満ちているように見える人物でも、内面は非常に脆く、常に「誰かに必要とされたい」「自分を認めてほしい」という承認欲求に支配されているケースがあります。
自己評価が安定せず、自尊心を他人の反応で補おうとする人ほど、浮気を“自分の価値を確認する手段”として繰り返す傾向が強く見られます。
●自分を“特別視”する歪んだ感覚
自己愛型の浮気者は、「自分だけはバレない」「自分の浮気は普通とは違う」といった特権的な思考に陥りやすいのが特徴です。
そのため、浮気をしていても罪悪感が生まれにくく、家庭も浮気相手も同時にキープしようとする二重構造が日常化していきます。このような人は、浮気そのものを問題行動だと認識していないこともあります。
●浮気は“外的誘惑”ではなく“内的欲求”の結果である
SNSの普及や出会いの機会が増えた現代では、外的な誘惑に対する言い訳がしやすくなっています。
しかし、探偵として見てきた多くの事例では、浮気の原因は環境ではなく、「もともと心の中にあった欲求」に根ざしているケースが圧倒的です。浮気相手は偶然出会ったのではなく、無意識に探し求めていた結果として出会っていることが多いのです。
●自己愛型浮気の特徴は、行動ににじみ出る
言葉では「反省している」と語りながら、行動ではまったく変化が見られない──これが自己愛型の浮気に共通するパターンです。調査中にも、
・同じ曜日に同じ場所に通う
・複数人と関係を持ちながらバレていないつもりでいる
・浮気相手の存在を武勇伝のように語る
など、自己中心的な思考と行動の一致が観察されます。探偵としては、これらの言動を注意深く記録・分析し、被害者が現実と向き合うための証拠として提示していきます。
■2. ナルシシズムとは何か──誤解されがちな「自信」との違い
「自己愛」と聞くと、自信満々で自己肯定感の高い人物像を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし実際のナルシシズムは、外からの承認がないと自分の存在価値を保てないという、非常に脆く繊細な側面を併せ持っています。褒めてくれる異性、求めてくれる相手を通じてしか、自分を保てない──そんな不安定さが、浮気という形で現れることがあります。
●ナルシシズムは「強さ」ではなく「脆さ」から生まれる
自己愛が強い人は、自分を大きく見せる言動を取ることがありますが、それは内面の不安を覆い隠すための防衛反応であることが多いです。
否定されることに極端に弱く、少しの批判や無視でも自尊心が大きく揺らぎます。その不安定さが、外部からの承認を求める行動へとつながっていきます。
●自分の価値を「他人の反応」で測ろうとする
ナルシシズム傾向のある人は、「自分がどう思うか」よりも、「他人がどう評価するか」を基準に自己価値を判断します。
褒められることで安心し、求められることで存在意義を感じるため、配偶者以外の異性からの好意が強い刺激となり、浮気に発展しやすくなります。
●安定した自己肯定感を持っていないという特徴
本当に自己肯定感が高い人は、他人からの評価がなくても自分を保つことができます。
一方、ナルシシズムが強い人は、評価が途切れた瞬間に不安や空虚感に襲われます。その空白を埋める手段として、異性との関係や恋愛的刺激に依存していくケースが多く見られます。
●「認められたい欲求」が人間関係を歪ませる
承認欲求が強くなりすぎると、人間関係は対等なものではなくなります。
相手を理解することよりも、自分を認めてくれるかどうかが最優先になるため、配偶者の気持ちよりも「自分が満たされているか」が判断基準になっていきます。調査でも、家庭より外での評価を重視する人物ほど、浮気に対する罪悪感が薄い傾向があります。
●浮気は“欲望”ではなく“不安”から始まることも多い
ナルシシズム型の浮気は、必ずしも刺激や快楽だけを求めて始まるわけではありません。
むしろ、自分の価値が揺らいだとき、誰かに必要とされたいという不安が引き金になるケースが目立ちます。その結果、浮気は一時的な安心感を得る手段となり、繰り返されやすい行動へと変わっていくのです。
■3. 承認欲求を満たす“装置”としての浮気相手
調査では、不倫相手に対して異常な執着を見せる一方で、関係が冷めた瞬間にあっさり切り捨てるという二面性を持つ加害者が少なくありません。
これは、相手に対して恋愛感情を抱いているのではなく、自分を承認してくれる存在かどうかだけで判断しているからです。愛情ではなく、自己愛を満たすための“手段”として、浮気相手が選ばれているという現実があります。
●相手の人格ではなく「反応」だけを見ている
自己愛が強い人は、浮気相手の性格や価値観にはあまり関心を持ちません。
重視しているのは、褒めてくれるか、求めてくれるか、自分を特別扱いしてくれるかという反応です。調査でも、相手の名前や背景をほとんど把握していないまま関係を続けているケースが少なくありません。
●過剰な執着と急激な冷却が同時に存在する
関係初期には頻繁な連絡や過剰な愛情表現を見せる一方で、承認が得られなくなった瞬間に態度が一変します。
これは愛情が冷めたというより、「装置としての役割」を果たさなくなったと判断された結果です。探偵目線では、この切り替えの速さが自己愛型浮気の大きな特徴といえます。
●浮気相手は“自尊心を補充する手段”である
自己評価が不安定な人にとって、浮気相手は自分の価値を補充する存在です。
仕事で評価されない、家庭で優位に立てないといった不満があるときほど、外での承認を強く求めます。その結果、浮気は感情の交流ではなく、自己肯定感を保つための行動へと変質していきます。
●相手が苦しんでも関係を続けられる理由
浮気相手が不安を訴えたり、関係の明確化を求めたりすると、自己愛型の人物は距離を取るか、切り捨てる選択をしやすくなります。
相手の感情に向き合うよりも、自分が負担を感じない状態を優先するためです。調査では、この段階で別の相手に乗り換えるケースも多く確認されています。
●「本気ではない」という言葉の本当の意味
不倫加害者が口にする「本気じゃない」という言葉は、相手を安心させるためというより、自分の行動を正当化するために使われます。
本気でないから問題ない、本気でないから裏切りではない──そうした理屈によって、自己愛を傷つけずに関係を続けることが可能になるのです。
■4. 「特別な自分だから許される」という歪んだ認知
ナルシシストは、自分だけは特別なルールが適用されると無意識に思い込んでいます。
「浮気なんて誰でもしている」「バレなければ問題ない」「本気じゃないから裏切りではない」など、自己正当化の言葉を並べ、罪悪感を麻痺させていきます。探偵からすれば、こうした発言が出た時点で、再発リスクは極めて高いと判断します。
●「浮気しても自分は悪くない」という自己特権意識
このタイプの人物は、浮気という行為を自分だけは“例外”と考える傾向があります。
「誰でもやっている」「本気じゃないから問題ない」「自分はバレないから平気」といった言葉を多用し、道徳や責任から自分だけを切り離そうとします。調査報告書を突き付けた際に、反省よりも弁解が先に出るケースが多いのも、この傾向の強さを示しています。
●「家庭も浮気も両立できている」という幻想
「家族は大事にしている」「浮気は遊びだから家庭には影響ない」と言い張る人ほど、自分の中で“二重生活のバランスが取れている”と本気で信じています。
しかし、実際の行動は日常的な嘘と裏切りの積み重ねです。調査では、仕事の予定を理由に浮気相手と会い、浮気相手には「夫婦関係は冷え切っている」と伝えるなど、都合のいいストーリーを構築して生きている姿が明らかになります。
●「浮気される側にも原因がある」という責任転嫁
特別視の背景には、責任を回避したい心理が強く働いています。「構ってくれなかった」「感謝されなかった」といった言葉で浮気の原因を配偶者にすり替え、自分を加害者ではなく“被害者”にすり替えようとするのです。
探偵としてこのタイプの言動を聞くたびに、相手を傷つけたという実感のなさに驚かされます。
●「バレなければ裏切りではない」という危険な論理
証拠がない限り浮気ではない、バレなければ罪にはならない──そうした考え方は、浮気を繰り返す人ほど強く持っています。
これは倫理ではなく、“証明できないならやっていないことにできる”という思考です。調査の現場では、明確な証拠を突きつけるまで全否定を続けた後、ようやく事実を認めるケースも少なくありません。
●歪んだ認知が浮気の再発を生むリスク
このような“自分だけは大丈夫”という思考がある限り、浮気の再発リスクは非常に高いと判断せざるを得ません。
なぜなら、浮気をやめることが“悪いから”ではなく、“バレたら困るから”という条件付きの反省になっているからです。こうした人物は、反省ではなく“隠し方を工夫する”方向に進んでしまう傾向があるため、早期の見極めと対処が重要になります。
■5. 配偶者の感情を軽視する“共感力の欠如”
自己愛の強い人は、他人の感情に共感する力が弱い傾向があります。「そんなに怒るとは思わなかった」「泣くほどのこと?」といった発言は、その証拠です。
探偵として事後の報告を受ける中で、被害者が深く傷ついている状況でも、加害者側が「これくらいで大げさだ」と受け止めているケースは少なくありません。他人の痛みより、自分の評価・快楽・自由の方が常に優先されているのです。
●他人の痛みに“反応しない”のではなく“感じ取れない”
共感力が低い人物は、他人の痛みを理解する理屈は知っていますが、自分の中にその痛みを引き受ける感覚が乏しい傾向があります。
「そんなに怒ること?」「泣くなんて大げさじゃない?」といった発言は、まさにその証拠です。感情の深さや繊細さが理解できないのではなく、実感できないという状態なのです。
●「自分は悪くない」が出発点になっている
自己愛型の浮気者は、そもそも自分が責められることに強い抵抗を持っています。
配偶者が怒る、泣く、問い詰める──そのすべてを「自分を傷つける攻撃」と受け取り、防御に転じるため、相手の感情を認めるよりも、「そんな言い方をされると冷める」などと逆に批判を返してくることさえあります。
●共感力の欠如は“反省の浅さ”にもつながる
浮気をしたことを謝罪しても、なぜそれが深く傷つける行為なのかを理解していない場合、本質的な反省は生まれません。
探偵として長年調査に携わる中で、同じ相手に繰り返し裏切られている依頼者が、「何度言っても分かってもらえない」と嘆くケースは決して珍しくありません。それは、加害者の中に被害者の苦しみを“自分の痛み”として感じ取る力がないからです。
●相手の感情より“自分の評価”が優先される
共感力の欠如した人にとって重要なのは、相手の感情ではなく、自分の立場や印象がどうなるかです。
そのため、調査によって浮気が証明された際にも、配偶者の悲しみよりも「これで信頼を失った」「家庭が壊れたら困る」といった自己都合の危機感が先に来ます。感情的な謝罪より、被害者の心に寄り添う姿勢が決定的に欠けているのが特徴です。
●浮気を“バレた出来事”としてしか見ていない
最後に強調したいのは、こうしたタイプの人物は、浮気を「裏切り行為」ではなく、「見つかったトラブル」として処理している点です。
つまり、謝罪の目的も“相手の心を癒す”のではなく、“これ以上責められないための処置”になりがちです。探偵として見れば、こうした人物に対しては行動の変化を伴わない限り、口先の謝罪に意味はないと考えるべきです。
■6. 「謝罪=反省」とは限らない
浮気が発覚した直後、多くの加害者は謝罪の言葉を口にします。中には涙を流し、深く反省しているように見える人もいます。
しかし探偵として数多くの事例を見てきた立場から言えば、謝罪の有無と本当の反省は、必ずしも一致しません。ここには、自己愛傾向が強い人特有の“謝罪のすり替え”が存在します。
●謝っている対象が「行為」ではなく「結果」になっている
自己愛が強い人の謝罪は、「浮気をしたこと」そのものではなく、「バレたこと」「責められている状況」に向けられている場合が多くあります。
だからこそ、「こんなことになるとは思わなかった」「こんなに大事になるとは」といった言葉が先に出ます。行為の重さではなく、自分が不利な立場に立たされたことへの後悔に近い反応です。
●涙や感情表現は“危機回避の手段”であることも多い
涙を流すからといって、必ずしも深い反省があるとは限りません。
探偵が調査報告を行う場面でも、感情的な謝罪をした直後に、行動がまったく変わらないケースは珍しくありません。これは、謝罪が「関係を壊さないための手段」「その場を乗り切るための行動」になっている可能性を示しています。
●謝罪後に注目すべきは「行動の変化」である
本当の反省がある場合、言葉より先に行動が変わります。連絡手段を断つ、生活リズムを改める、第三者の介入を受け入れるなど、具体的な変化が伴います。
一方で、口では反省を語りながら、行動が以前と変わらない場合、それは謝罪が表面的なものである可能性が高いと判断できます。
●「もうしない」という言葉が最も信用できない理由
調査の現場では、「もう二度としない」という言葉の後に、再び調査依頼が入るケースが少なくありません。
このタイプの人物は、「しない」と決意したのではなく、「今はバレたくない」と考えているにすぎない場合があります。謝罪が“決意”ではなく“状況対応”で終わっている限り、再発リスクは消えません。
●再調査が繰り返される現実が示すもの
実際、一定期間が経過した後、同じ配偶者から再度調査の相談を受けることは珍しくありません。これは、謝罪が問題解決につながっていなかったことの証明でもあります。
探偵として言えるのは、謝罪の言葉よりも、「その後の時間の使い方」「行動の一貫性」を見なければ、真の反省かどうかは判断できないということです。
■7. 「浮気をやめたいのにやめられない」その本音とは
中には「自分でもやめたいと思っている」「でも会いたくなってしまう」と語る加害者もいます。これは“恋愛感情”ではなく、自己愛を維持する依存行動に近いものです。
自分を求めてくれる存在がいなくなると不安で仕方がない──そんな内面の脆さが、浮気を繰り返す背景になっているのです。依存対象が変わっても、浮気自体が終わらないのがこのタイプの特徴です。
●「好きだからやめられない」のではない
このタイプの浮気は、相手への愛情が原因ではありません。調査を進めると、相手が変わっても同じ行動を繰り返しているケースが非常に多く見られます。
重要なのは相手の人物像ではなく、「自分が求められている」「必要とされている」という感覚そのものなのです。
●承認が切れることへの強い不安
自己愛が強い人は、誰かから特別扱いされていない状態に耐えられません。
浮気相手との関係が切れると、自分の価値が消えてしまうような感覚に襲われ、不安や焦燥感が一気に高まります。その不安を和らげるため、再び連絡を取り、関係を復活させてしまうのです。
●依存対象は変わっても構造は変わらない
探偵の調査では、「今回の相手とはもう終わった」という言葉の後、別の相手との関係が始まっているケースが少なくありません。
これは浮気相手に依存しているのではなく、承認を与えてくれる存在そのものに依存している状態だと判断できます。対象が変わっても、行動が終わらない理由がここにあります。
●「やめたい」という言葉が免罪符になることもある
「自分でも苦しい」「本当はやめたい」という言葉は、被害者の怒りを和らげる効果があります。
しかし行動が変わらない場合、その言葉は無意識のうちに責任を軽くするための免罪符として使われている可能性があります。言葉よりも距離の取り方や生活行動の変化を見る必要があります。
●依存型浮気は強い再発性を持つ
このタイプの浮気は、意志や誓約だけで止めることが非常に困難です。なぜなら、浮気が快楽ではなく「自己を保つための行為」になっているからです。
調査後に一時的に落ち着いても、評価が下がったと感じた瞬間、再び同じ行動に戻るリスクが高いことを、私たちは現場で何度も確認しています。
■8. 「あなたのせい」と責任転嫁する構図
浮気が発覚したとき、加害者がよく口にするのが「自分にも悪いところはあるが…」という言葉です。
その後に続くのは、「寂しかった」「家庭が冷えていた」「あなたが冷たかった」といった“浮気の原因は相手にある”という論理です。探偵として多くの相談に関わる中で、こうした責任転嫁が被害者を二重に傷つけている現実を痛感しています。
●「浮気の理由づけ」が心理操作として使われる
「寂しかったから」「構ってくれなかったから」という説明は、一見すると心情の吐露に聞こえるかもしれません。
しかし実際には、被害者側の罪悪感を引き出し、怒りや不信感を抑えさせるための無意識の心理操作であるケースが少なくありません。言葉を向けられた側が「自分にも原因があったのかも」と思い込んでしまうのです。
●「感情の正当化」によって浮気を正当化する構図
加害者は「満たされなかった感情」を根拠に、自分の浮気を“やむを得なかったこと”にしようとします。
これは、行動の責任を軽く見せるためのフレーム作りであり、浮気が結果ではなく被害者のせいで起こった当然の流れであるかのように語られます。この歪んだ構図は、被害者の心を深く蝕みます。
●謝罪と責任転嫁を同時に行う“二重話法”
「ごめん、でも…」という形で始まる謝罪は、一見反省しているようで、実際には自己弁護の伏線が含まれています。
「悪いのは自分だけではない」という論点を作ることで、被害者が冷静に怒ることすら難しくなっていきます。探偵の立場としても、この“反省を装ったすり替え”は最も注意すべき言動のひとつです。
●被害者が“自分を責め始める”危険な状態
このような責任転嫁が続くと、被害者は「私がもっと優しくしていれば」「仕事にかまけすぎたかも」と、自分の行動に原因を求め始めます。
これは加害者にとって都合がよく、再発の抑止にならないばかりか、被害者が現状に甘んじる引き金になります。探偵としては、“悪いのは浮気をした人間”という事実の整理をまず大切にするよう呼びかけています。
●浮気は“誰かのせい”で起きる行為ではない
浮気は、本人の意思と判断によって行われる行動です。どんなに家庭に不満があろうと、選択肢は他にもある中で「裏切り」という手段を選んだ時点で、責任は明確です。
探偵が得た証拠は、そうした“言い逃れ”を無効化するための手段でもあります。言葉に惑わされず、行動と事実に目を向けることが、被害者を守る第一歩です。
■9. 言葉ではなく“行動”を見るべき理由
自己愛が強い人ほど、言葉は巧みです。謝罪も反省の言葉も、時には感動的にさえ聞こえます。しかし、行動が変わっていないなら、それはただの演技です。
探偵の仕事は、その言葉の裏にある行動という事実を明らかにすること。口では反省を語りながら、実際には今も同じ相手と会っている。そんなケースを、私たちは何度も記録してきました。
●謝罪や誓いの言葉は“演技”であることもある
自己愛傾向の強い人ほど、相手を納得させる言葉の使い方に長けています。謝罪も感動的に聞こえ、涙さえ流すこともありますが、それが本心かどうかは別問題です。
探偵として証拠を追っていると、謝罪の直後に同じ浮気相手と会っているケースを数多く確認しています。つまり、言葉と行動が一致していないのです。
●口先の反省では根本的な行動は変わらない
「ごめん」「もう終わった」と言いながら、LINEやSNSでのやり取りは続いている。出張と称して浮気相手と会っている。
こうした状況では、いくら謝罪の言葉を並べても、実態が伴っていなければ何の意味もありません。行動が変わって初めて、謝罪に価値が生まれるのです。
●“言い逃れ”のための戦略としての言葉
探偵として多くの事実と向き合ってきたからこそわかるのは、言葉が本心ではなく場をしのぐための戦略として使われているケースが多いという現実です。
特に「浮気の証拠が出たときだけ」反省の言葉を口にし、それ以前には一貫して否定していた場合、真の誠意はそこに存在しないと見て間違いありません。
●行動の変化は“本気の証”として現れる
本当に反省している人物は、言葉よりもまず「行動を改める」ことで気持ちを示します。
浮気相手と完全に連絡を断つ、SNSのアカウントを整理する、生活リズムや行動パターンを見直すなど、外形的な変化がともなって初めて、信頼の回復がスタートするのです。
●探偵が重視するのは“確認できる事実”
探偵の仕事は、感情ではなく“事実”を可視化することにあります。言葉だけでは判断がつかないからこそ、張り込みや尾行、証拠写真や出入りの時間などで動かぬ証拠を積み上げます。
これは、依頼者が「信じたい気持ち」と「現実とのギャップ」に苦しんでいるとき、判断材料を提供するために必要な行為なのです。
■10. 自己愛型の浮気から身を守るために
自己愛が強い浮気者と向き合うとき、最も危険なのは「言葉を信じてしまうこと」です。巧みな謝罪や反省の言葉は、被害者の迷いにつけ込み、判断を鈍らせます。
探偵として多くの事例を見てきた立場から言えるのは、感情論ではなく、事実と証拠に基づいて現実を見ることこそが、自分の人生を守る唯一の手段だということです。
●「信じたい気持ち」と「現実」は切り分けて考える必要がある
配偶者を信じたい、これ以上傷つきたくないという気持ちは自然なものです。
しかし自己愛型の浮気者は、その気持ちを利用して曖昧な約束や言葉で時間を稼ぐことがあります。感情と事実を切り分け、冷静に状況を把握する視点が不可欠です。
●曖昧な直感より“確認できる証明”を重視する
「たぶんもう大丈夫」「今回は違う気がする」といった直感は、再発を防ぐ材料にはなりません。探偵が重視するのは、誰が見ても否定できない行動の記録です。
出入りの事実、接触の頻度、継続性といった証明があって初めて、正確な判断が可能になります。
●言いくるめられないためには主導権が必要
自己愛型の人物は、話の主導権を握ることで有利な状況を作ろうとします。証拠がない状態では、話は感情論や言葉遊びにすり替えられがちです。事実を把握している側に立つことで、初めて対等な判断ができる立場を確保できます。
●真実を知ることは、離婚を決めるためだけではない
証拠を集めることは、必ずしも別れを選ぶためだけの行為ではありません。関係を続けるにしても、条件を整理するにしても、真実を知らなければ適切な選択はできません。
探偵の現場では、「事実を知って初めて、気持ちが整理できた」と語る依頼者も少なくありません。
●探偵の役目は“決断を強要すること”ではない
私たち探偵の仕事は、依頼者に答えを押しつけることではありません。あなたが自分の人生をどう選ぶのか、その判断材料を揃えることです。
感情に振り回されず、冷静に未来を選ぶための“視える材料”を提示すること。それが、探偵という仕事の本質であり、私たちの信念です。
■まとめ:「反省しているように見える」では判断できない
浮気を繰り返す人の中には、見えにくい“心理的な歪み”が存在します。その代表的なものが、自己愛──つまり「自分は特別」「自分の感情が最優先」という思考です。謝罪の言葉があっても、行動が伴わなければ、それは反省ではなく演技に過ぎない可能性があります。
共感性の欠如、責任転嫁、自分を正当化する癖、そして相手を“自分を満たすための装置”として扱う傾向──これらが積み重なると、浮気はやめたくてもやめられない「依存行動」へと変わっていきます。
だからこそ、大切なのは言葉ではなく“行動”を見ること。そして、感情ではなく事実と証拠をもとに判断すること。真実から目を背けるのではなく、きちんと向き合ったとき、ようやく自分の人生をどうするかを選ぶことができます。
探偵の役目は、疑いを煽ることではありません。あなたが冷静に未来を選ぶための「揺るがぬ材料=事実」を提供することです。言いくるめられない自分でいるために、“真実を知る”という選択を、どうか恐れないでください。











