横浜の探偵日記のページ


記憶に残る調査②


今から5、6年ほど前だが、親御さんから上京して1人暮らしをしている娘の様子を見てほしいというご相談だった。

こういった子どもの調査依頼はよくあることで、子どもから大金を貸してほしいなどと言われて心配になった親御さんからのご相談がある。

心配に思った理由が、娘さんとは仲が良かったのに正月やお盆に帰省しなくなり、電話にも出なくなったので不安に思い相談に来られたようだ。

借金をしていてお金を貸してくれと言われればギャンブルやホストにハマって悪い仕事をしていたり、風俗で働いたなんてことはある。

実家に帰ることが少なくなったり、電話にあまり出れないなんてことは社会人になればよくあることで心配することではないのではと思っていた。

しかし、子どもの変化は親御さんが一番よくわかっているのだろう。過保護という訳ではなかったので娘さんの行動を調べるということで調査を引き受けた。

実際に張り込みをしていると、聞いていたアパートに娘さんがちゃんと住んでいることを確認し、朝の出勤時間に出掛けたので仕事場までついて行くことに。

ただ、通勤中に何もないところで急に立ち止まったり、辺りを見渡したり挙動がなにかおかしい。気のせいかもしれないが目も虚ろだ。

聞いていた職場の最寄り駅に着いても、勤務先のビルの周りをぐるぐる徘徊してなかなか出勤しない。まるで何かを警戒しているような行動だ。

その後、聞いていた職場に出勤したので退勤から調査を再開することに。定時に勤務先を出ると自宅の最寄り駅を通り過ぎて西荻窪駅まで来た。

駅から迷うことなく、とあるアパートに入る。彼氏の家かな?と思いよく見てみると、築年数の古いよくあるアパートなのに防犯カメラの数が尋常じゃない。

その異様な光景に不審に思いながら、アパートを張り込むことに。すると上下白い服を着たスキンヘッドの男がアパートから出てきてこちらを見ている。

嫌な予感がしたので、その場から離れることにしたがその男もついてくる。なんとか撒くことができたがあまりにもしつこく、戻ってもまだ我々を探している。

男性の警戒の仕方があまりにも尋常じゃないため、なにかあると思いそのアパートを調べてみるとオウム真理教の後継団体、アレフ東京道場だったのだ。

アレフと言えば今でも公安警察に危険団体として指定されている。娘さんは2年ほど前にアレフに入信してそれから様子がおかしくなったようだ。

その後、調査報告を受けた親御さんは娘さんを無理やり実家に連れ帰ったそうだが、本人が納得していなければ今度は家出をする可能性もあるだろう。

子どもからすれば納得はいかないかもしれないが、子どもを案じる親の気持ちはわかる。その行動が結果的に良かったと思えるのであればいい。

お子さんの様子が今までと一変し、なにかトラブルに巻き込まれているようであれば時には人の手を借りることも必要なのかもしれない。





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