浮気している妻からの高額な婚姻費用の請求
婚姻費用とは、夫婦や未成熟の子どもが社会生活を維持するために必要な生活費全般のことを指す。
夫婦は互いに扶助する義務があり、例え離婚に向けて別居していたとしても互いの生活を保持する義務があるのだ。
しかし、なかには自分が浮気相手と一緒になりたいがために、勝手に家を出て行ったのにもかかわらず、高額な婚姻費用を請求してくる妻がいる。
当然、夫は別居する原因を作り、子どもを連れて浮気相手と暮らす妻に生活費を払うのは納得がいかないし払いたくないと考えるのは当然だろう。
夫からすれば落ち度はないのに、妻は浮気相手と生活するから生活費だけよこせというのは公平性に欠けるし、そんな都合のいい話は通用しない。
そのため、別居する原因を作った妻からの婚姻費用の請求は権利の濫用にあたるとして、支払いの拒否、もしくは減額することができるのだ。
もちろん、別居に至った原因がどちら一方だけにあるとは限らない。夫にも何らかの原因があれば全額拒否することが認められない場合もある。
その場合、具体的な事情と責任割合を判断したうえで決まるが、夫にも原因の一端があるとみなされれば支払いを拒否することは難しいだろう。
また、浮気を主張しても証拠がなければ、ただの言いがかりになってしまい難癖をつけて婚姻費用を払わなかっただけだと判断される恐れがある。
もし、浮気の証拠がないのに婚姻費用を払わなければ、夫婦の義務違反である悪意の遺棄があったとして逆に慰謝料を請求されるかもしれない。
正当な理由がないのに、婚姻費用を払わなければ婚姻関係を破たんさせた有責配偶者とみなされてしまうかもしれないので注意が必要だ。
