離婚後に夫の不倫が発覚!慰謝料請求できるケース・できないケースとは?
- 2025年02月01日
- 2025年02月01日

婚姻期間中に配偶者が不貞行為(不倫)をしていた場合、離婚後でも慰謝料を請求することは可能です。ただし、慰謝料請求が認められるためには、法律上の要件を満たす必要があり、場合によっては請求が困難になるケースもあります。
以下、慰謝料請求が可能なケース・不可能なケース、必要な条件、具体的な手続きについて詳しく解説します。
1. 慰謝料請求ができるケース
以下の条件に該当する場合は、離婚後でも慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。
2. 婚姻期間中に不貞行為が行われていた
婚姻関係が継続していた期間に、不倫相手と肉体関係を持っていたことが前提となります。不倫が婚姻関係を破綻させた原因になっている場合、慰謝料請求が認められやすいです。
✅ 慰謝料請求が可能な具体例
- 離婚前に配偶者が不倫をしていたことが判明し、離婚後に証拠を掴んだ。
- 配偶者が婚姻中に不倫をしており、その結果、婚姻関係が悪化して離婚に至った。
- 離婚後に不倫の証拠を発見し、婚姻期間中の不貞行為が明らかになった。
3. 不貞行為の証拠がある
不倫の慰謝料請求をするためには、不貞行為があったことを証明する確実な証拠が必要です。証拠がなければ、不倫相手や元配偶者が「不貞行為はなかった」と主張し、慰謝料請求が認められない可能性があります。
✅ 有力な証拠の例
- 探偵の調査報告書(ホテルや旅行の証拠、密会の記録)
- LINEやメールのやりとり(不貞行為を示すメッセージ)
- 不倫相手の自白(録音・書面)
- ホテルや旅行の領収書、クレジットカードの利用履歴
- 目撃証言(親族や友人)
4. 慰謝料請求の時効が成立していない
慰謝料請求には時効があり、一定の期間を過ぎると請求権が消滅します。
(1)不貞の事実を知ってから3年以内(民法724条)
- 配偶者の不倫を知った日から3年以内に請求する必要がある。
- 離婚後に不倫の証拠を見つけた場合、「その事実を知った日」から3年以内なら請求可能。
(2)不貞行為が行われてから20年以内
- 不貞行為が行われてから20年以上が経過すると、慰謝料請求はできなくなる。
- たとえ離婚後に不倫の証拠を発見したとしても、不貞行為が行われた時点から20年が経過している場合、時効が成立します。
⚠ 時効のカウントに注意
- 離婚後に不倫の証拠を発見した場合:発見した日から3年以内に請求できる。
- 婚姻中に不倫を知っていたが請求しなかった場合:不倫を知った時点から3年が経過すると請求不可。
5. 離婚時の合意に慰謝料を含めていない
離婚時に財産分与や慰謝料を決定する際、不倫に関する慰謝料が考慮されていなかった場合、追加で慰謝料を請求することが可能です。
✅ 慰謝料請求が可能な具体例
- 離婚時に慰謝料について話し合いがされず、合意書にも不倫に関する記載がなかった。
- 離婚時に不倫の事実を知らなかったため、慰謝料請求の話が出なかった。
6. 慰謝料請求ができないケース
以下のケースでは、慰謝料請求が認められない、または困難になります。
7. 時効が成立している場合
(1) 不貞行為を知ってから3年以上が経過している
不倫の慰謝料請求には時効があり、不貞行為を知った日から3年が経過すると請求権が消滅します(民法724条)
❌ 請求が難しい具体例
- 婚姻期間中に不倫を知っていたが、離婚後3年以上が経過してしまった場合
- 離婚後に不倫の証拠を発見したが、その発見日から3年以上経過してしまった場合
(2) 不貞行為が行われてから20年以上が経過している
- 不貞行為が行われてから20年以上が経過すると、慰謝料請求はできなくなる(民法724条の2)
- これは、不倫の事実を知らなかった場合でも適用される。
❌ 請求が難しい具体例
- 婚姻期間中の不貞行為が1999年に発覚したが、2023年になって請求しようとした場合
- 2020年に離婚し、2021年に不倫の証拠を入手したが、不倫自体は2000年に行われたものである場合
8. 夫婦関係がすでに破綻していた場合
慰謝料請求が認められるためには、不貞行為が「夫婦関係を侵害したこと」が条件となります。しかし、すでに夫婦関係が破綻していたと判断されると、不倫による精神的苦痛は発生しないとみなされ、慰謝料請求が認められません。
(1) 長期間の別居が続いていた
- 別居期間が長期に及び、すでに婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料請求は認められにくい。
- たとえば、不倫が発覚する前にすでに別居していた場合、不倫が夫婦関係の破綻の原因と認められにくくなる。
❌ 請求が難しい具体例
- 長期間別居していた後に、配偶者が不倫をした
- すでに離婚協議が始まっていた時期に配偶者が不倫していた
(2) 夫婦関係が事実上破綻していた
- たとえ同居していたとしても、長期間会話がなく、家庭内別居の状態が続いていた場合、すでに婚姻関係が破綻していたとみなされることがある。
- その場合、不貞行為が「夫婦関係を破綻させた原因」とは認められず、慰謝料請求が難しくなる。
❌ 請求が難しい具体例
- 夫婦関係が冷え切っており、何年もお互い干渉しない生活をしていた
- 夫婦生活が完全に途絶えていた時期に、不倫が発覚した
(3) 離婚前に「お互い自由にして良い」と合意していた
- 夫婦間で「すでに別々の人生を歩んでいる」という暗黙の合意があった場合、不貞行為としての責任を問えなくなる。
- 例えば、離婚協議中に配偶者が別の異性と交際を始めたが、元配偶者もそれを容認していた場合。
❌ 請求が難しい具体例
- 離婚することが決まっており、夫婦で「もうお互い自由にしていい」と話し合っていた
- 離婚協議中に配偶者が異性と付き合っていたが、特に問題にしていなかった
9. 離婚時の合意で慰謝料を放棄していた場合
(1) 離婚協議書や公正証書に「慰謝料請求をしない」と記載されている
- 離婚時の合意で、慰謝料請求を放棄した場合、追加の請求はできない可能性が高い。
- たとえば、「今後、一切の金銭的請求をしない」という文言がある場合、不倫の慰謝料も含まれると解釈されることが多い。
❌ 請求が難しい具体例
- 離婚時に公正証書で「慰謝料は請求しない」と記載していた
- 離婚協議書で「今後、金銭的請求は一切しない」と合意していた
(2) 財産分与と慰謝料を一括で処理した場合
- たとえ離婚協議書に慰謝料の明記がなくても、「財産分与に慰謝料相当額を含めて解決した」と元配偶者が主張すれば、追加で慰謝料を請求することは難しくなる。
❌ 請求が難しい具体例
- 財産分与の際、「これで全て解決」と話し合いがついていた
- 離婚時に慰謝料の話し合いをしなかったが、後から追加で請求しようとした
10. 不貞行為の証拠がない場合
慰謝料請求をするためには、配偶者が婚姻期間中に不貞行為(肉体関係)を持っていたことを証明する証拠が必要です。
(1) 物的証拠がない
- 証拠が不十分な場合、相手が「不倫をしていない」と主張すると慰謝料請求が認められない可能性が高い。
❌ 請求が難しい具体例
- 友人の証言しかない
- 配偶者と異性が一緒にいる写真だけで、肉体関係を示すものがない
(2) 証拠が違法に取得された
- 違法に取得した証拠(盗聴、無断でスマホを閲覧したLINE履歴など)は裁判で証拠として認められない。
❌ 請求が難しい具体例
- 配偶者のスマホを無断で覗き見たLINEのスクリーンショット
- 不倫相手の家に勝手に侵入して撮影した写真
11. 不貞の慰謝料請求をするための準備
慰謝料請求をする前に、まず 不貞行為の証拠を確保し、請求できるかどうかを確認することが重要 です。
12. 請求の可否を確認する
以下の条件を満たしているか確認しましょう。
✅ 慰謝料請求が可能な条件
- 婚姻期間中の不倫の証拠がある
- 時効が成立していない
- 離婚協議書や公正証書で慰謝料放棄の合意をしていない
- 婚姻関係が不倫によって破綻した
❌ 慰謝料請求が難しいケース
- 離婚後に初めて交際関係が始まった
- 不倫の証拠がない、または違法に入手した証拠しかない
- 不倫の事実を知ってから3年以上が経過している
- 離婚協議書で「慰謝料請求はしない」と明記されている
13. 証拠を確保する
慰謝料請求を成功させるためには、確実な証拠が必要です。証拠がないと、相手が不倫を否定した場合に慰謝料請求が難しくなります。
✅ 有力な証拠の例
- 探偵の調査報告書
- 不倫相手とのLINEやメール
- 不倫相手との旅行の領収書やクレジットカードの明細
- 不倫相手の自白の録音または書面
- 友人や知人の証言
- SNSの投稿(不倫関係を示唆するもの)
❌ 証拠として不十分な例
- 「夫(妻)が異性と一緒にいた」という目撃情報だけ
- 不倫相手とのツーショット写真(性行為の証拠にならない)
- 食事のレシートやプレゼントの購入履歴(決定的ではない)
14. 慰謝料の金額を決める
慰謝料の相場は ケースによって異なります が、一般的には以下のような基準があります。
ケース | 慰謝料の目安 |
---|---|
離婚しない場合 | 50万〜150万円 |
不倫が原因で別居 | 100万〜300万円 |
不倫が原因で離婚 | 200万〜500万円 |
不倫の期間が長く複数回の不貞 | 300万〜500万円 |
✅高額な慰謝料を請求する場合は、証拠をしっかり確保しておくことが重要です。
15. 慰謝料請求の手続き
準備が整ったら、慰謝料請求の手続きを進めます。直接請求→内容証明郵便→示談交渉→調停・裁判の流れで進めるのが一般的です。
16. 不倫相手に直接請求(口頭・書面)
- まずは不倫相手に直接慰謝料請求を伝える(電話・手紙・メールなど)
- ここで相手が話し合いに応じれば、示談交渉で解決することも可能。
✅直接会って話す際の注意点
- 感情的にならず冷静に対応する
- 脅迫的な言葉を使わない(脅迫罪・恐喝罪になる可能性あり)
- 相手が弁護士を立てた場合は、自分も弁護士を依頼するのが望ましい
17. 内容証明郵便で慰謝料請求を送る
口頭での交渉が難しい場合は、内容証明郵便で正式に慰謝料請求を通知します。
✅内容証明郵便に記載すべき内容
- 請求する慰謝料の金額
- 支払い期限
- 振込先
- 不倫の証拠(簡単な説明)
- 今後、誠実な対応がなされない場合は法的措置を取ることを記載
18. 示談交渉を行う
- 不倫相手が話し合いに応じる場合、示談書を作成し、慰謝料を支払う合意をする。
- 示談書には、公正証書として作成すると強制執行が可能(相手が支払いを怠った場合に備えられる)。
✅示談書の主な記載事項
- 慰謝料の金額
- 支払い方法(分割・一括など)
- 支払期限
- 今後、お互いに関与しないことの誓約
- 守秘義務条項(内容を第三者に漏らさない)
19. 慰謝料請求調停を申し立てる
示談がまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てる。
✅調停の流れ
- 家庭裁判所に「慰謝料請求調停」を申し立てる
- 裁判所で調停員を交えて話し合い
- 合意が成立すれば調停成立→支払い義務が発生
- 合意できなければ調停不成立となり、裁判へ
20. 慰謝料請求の民事訴訟(裁判)
調停で解決しない場合、地方裁判所に慰謝料請求の民事訴訟を起こす。ただし、裁判には時間がかかるため、示談や調停で解決できるのが理想。
✅裁判で求められること
- 証拠の提出
- 不貞行為があったことの証明
- 精神的苦痛を受けたことの説明
- 適正な慰謝料額の算定
まとめ
✅ 離婚後でも慰謝料請求が可能なケース
- 婚姻期間中に不貞行為が行われた
- 時効が成立していない(知ってから3年以内、不貞行為から20年以内)
- 離婚時に不倫慰謝料について取り決めがなかった
- 不貞行為を証明できる証拠がある
- 夫婦関係が婚姻期間中に破綻していなかった
❌ 慰謝料請求が難しいケース
- 離婚後に初めて不倫関係が始まった
- 時効が成立(不倫を知って3年以上、不貞行為から20年以上)
- 離婚協議書で慰謝料を請求しないと合意していた
- 夫婦関係がすでに破綻していた
慰謝料請求を検討している場合は、証拠を確保し、時効が成立する前に専門家に相談することが重要です。