年齢・心理別に考える、子どもに親の不倫や離婚の伝え方と注意点について

子どもに不倫や離婚をどう説明すべきか?年齢別・心理別に考える伝え方と注意点

  • 2025年05月06日
  • 2025年05月07日

1. はじめに:なぜ「伝え方」が重要なのか

離婚や不倫は、大人同士の問題のように思われがちですが、実際には子どもにも大きな心理的影響を与える重大な出来事です。子どもは親の関係から安心感や信頼感を得て生活しているため、突然の変化や曖昧な説明により、不安や自己否定の感情を抱くこともあります。

そのため、「どのように説明するか」が非常に重要です。本記事では、子どもの年齢や発達段階に応じた伝え方と、親として押さえておくべきポイントを紹介します。

2. 子どもへの説明における基本原則

離婚や家庭内の大きな変化を子どもに説明する際、最も重要なのは「子どもが受け止めやすい形で、安心感を与える」ことです。以下に、親として押さえておくべき基本姿勢と注意点を詳しく解説します。

1. 事実を歪めず、年齢に合った言葉で伝える

離婚や別居の理由を子どもに隠したくなる気持ちは理解できますが、嘘をついたりごまかしたりすると、子どもの信頼を損なうことになります。
ただし、すべてを率直に話せばよいわけではなく、年齢や理解力に応じて、伝える範囲や言葉を調整することが大切です。

  • ×「詳しくは大人になったら話すね」と曖昧に逃げるのはNG

  • ○「お父さんとお母さんは仲がうまくいかなくなった。でもあなたのことは変わらず大切だよ」と伝える

2. 相手を悪者にしない

不倫など一方に非がある場合でも、子どもにとっては両親とも大切な存在です。どちらか一方を否定的に語ることは、子どもの心を引き裂くことに等しい行為になりかねません。

  • 相手の落ち度に言及する場合も、感情的な表現は避け、中立的な言い回しに留めましょう。

例:「夫婦の間で大切な約束が守れなかったことがあって、信頼関係がうまくいかなくなった」など。

3. 「あなたのせいではない」と繰り返し伝える

多くの子どもは、両親の不仲や離婚を自分のせいだと感じる傾向があります。
親の不機嫌や口論を「自分が悪かったのかも」と受け止めてしまうことも。

  • 親が何度も「あなたのせいじゃないよ」と伝え続けることで、罪悪感や自己否定感から子どもを守ることができます。

4. 変わること・変わらないことを明確に伝える

家庭の形が変わると、子どもは「これからどうなるの?」と強い不安を抱きます。
このとき大切なのは、「何が変わるのか」「何が変わらないのか」をはっきりと示すことです。

  • 変わること:住む場所・家族の形・会う頻度など

  • 変わらないこと:親の愛情・学校や友達との生活・日々の習慣

例:「これからはママと二人で暮らすけど、パパも毎週会いに来るよ。ママもパパも、あなたのことをとても大事に思ってるよ。」

5. 子どもの理解や感情に耳を傾ける姿勢を持つ

説明することに意識が向きすぎると、子どもの反応を見落としてしまいがちです。
子どもが混乱したり、不安を抱えたりしているようであれば、質問や感情を受け止める余裕を持って接することが、信頼関係を深める鍵になります。

3. 年齢別の伝え方と具体例

子どもがどの年齢層にいるかによって、適切な説明の方法は異なります。年齢ごとの心理的発達段階に合わせた言葉選びと説明方法を取り入れることが重要です。以下では、幼児、小学生、中学生・高校生別に、どのように伝えるべきか、具体的な事例も交えて説明します。

1. 幼児(3〜6歳)の伝え方

幼児期の子どもは、まだ抽象的な概念を理解するのが難しく、非常に感受性が高い時期です。この年齢の子どもにとって最も重要なのは、安心感を与えることと、「家族の愛が変わらない」ことを伝えることです。言葉の選び方や説明の内容に工夫が求められます。

伝え方のポイント

  • シンプルで、具体的な言葉を使う

  • 子どもの感情を落ち着かせるようにする

  • 不安を感じさせないようにする

この年齢の子どもには、「離れて暮らす」という表現に焦点を当て、家族の愛が変わらないことを強調することが非常に大切です。

2. 小学生(7〜12歳)の伝え方

小学生の子どもは、少しずつ物事を理論的に考えることができるようになり、親の言動に対して疑問を持つことも増えてきます。しかし、まだ感情的な不安を抱えやすい年齢でもあるため、事実を分かりやすく説明しつつ、安心させることが重要です。この年齢で特に気をつけるべきは、子どもに自分が原因ではないことを強調することです。

伝え方のポイント

  • 事実を簡潔に、でも誠実に伝える

  • 子どもが理解できるように「なぜ?」に答える

  • 自分を責めさせない

小学生には、「別々に住む」理由を簡潔に伝えた後、「子どものせいではない」ことをしっかり強調することが大切です。また、将来の予定(たとえば、どのように会えるかなど)を具体的に伝えると安心感を与えることができます。

3. 中学生・高校生(13歳以上)の伝え方

中学生以上の子どもは、すでにある程度の感情的な成熟を見せ、複雑な社会的な問題を理解できるようになります。この年齢層では、親がどれだけ誠実に、そして冷静に説明するかが非常に重要です。特に不倫が関係している場合、子どもは大きなショックを受ける可能性が高いため、事実を正直に伝えつつも、感情的なサポートが不可欠です。

伝え方のポイント

  • 離婚の理由を誠実に説明する

  • 感情的にならず、冷静に話す

  • 子どもが感情的な反応を見せた場合は、それに寄り添いサポートする

中高生に対しては、事実をある程度具体的に伝えることが求められますが、その際には相手を責めたり、過剰に詳細を伝えたりしないことが大切です。「これは親の問題で子どもに責任はない」というメッセージを繰り返し伝え、子どもが親を信頼できるようサポートすることが重要です。

4. 不倫を説明するかどうかの判断軸

不倫が原因で離婚に至った場合、その事実を子どもに説明すべきかどうかは非常に繊細な問題です。親としては、子どもに真実を伝えたいと思う一方で、子どもの心情や将来に与える影響を考えると、慎重に判断する必要があります。子どもへの説明は、年齢や成熟度、家庭の状況に応じて異なるアプローチが求められます。

このセクションでは、「不倫を説明するかどうか」の判断基準を以下の視点から深掘りし、どのように決断すべきかを解説します。

1. 子どもの年齢と成熟度

まず最も重要なのは、子どもの年齢とその成熟度です。年齢が若ければ、詳細な情報を与えることが逆に不安や混乱を招く可能性が高いです。一方で、高校生以上の年齢では、すでにある程度の理解力があり、状況を知ることで納得感を得ることができるかもしれません。

  • 幼児や小学生の場合は、事実を過剰に伝えることが子どもの心情を乱す可能性があります。特に不倫という内容は、子どもにとって非常に複雑で理解しきれない部分が多いため、伝える必要はないと考えた方がよいでしょう。むしろ、家庭内の変化や不仲を「うまくいかなくなった」「別々に暮らすことになった」という形で伝え、子どもが自分を責めないように配慮することが重要です。

  • 中学生や高校生では、ある程度現実的に物事を理解できるため、説明してあげることで納得することができる場合があります。ただし、感情的な部分が強くなる可能性もあるため、離婚の詳細を伝える際には、子どもが混乱しないように冷静に説明する必要があります。

2. 子どもの心理状態と感情

子どもがどのように反応するかを予測するのも、判断基準の一つです。子どもが不安を抱えている時期や、親の関係に対して非常に敏感な時期の場合、不倫の事実を知ることがさらに不安を引き起こす可能性があります。逆に、親が不倫していることを感づいていた場合、その事実を明確に伝えることで納得できる場合もあります。

  • 子どもがすでに不倫に気づいている場合:子どもが不倫を疑っている、またはその兆候を感じ取っている場合、その事実を否定することがさらに混乱を招く可能性があります。こうした場合には、誠実に、適切な言葉で説明することが大切です。たとえば、「お父さん(お母さん)には、他に好きな人ができてしまったことが原因で、夫婦としてうまくいかなくなった」と、事実を認めたうえで、子どもを責めないように配慮して話すことが重要です。

  • 子どもが不倫を知らない場合:子どもが家庭の問題に気づいていない、またはそのような問題を想像できない年齢層の場合、無理に説明する必要はないかもしれません。むしろ、家庭内での変化(別々に住むことになった)を重視し、子どもがショックを受けないように配慮した方がよいです。

3. 事実をどこまで伝えるかのバランス

不倫を伝える際には、どの程度の詳細を話すかが大きな問題です。過度に詳細に説明することは、子どもにとって過剰な情報提供となり、精神的な負担をかける可能性があります。逆に、あまりにも抽象的に伝えると、子どもが不安や疑念を持つことにもつながります。そのため、必要な範囲内での説明が大切です。

  • 不倫の具体的な内容を伝えるべきか:基本的には、不倫に至った経緯や他の人物との関係について、子どもに詳細に話すことは避けるべきです。親が自分の感情を子どもに押しつけるような形で不倫の詳細を話すことは、子どもの心情をさらに傷つける可能性があります。

  • 説明内容の焦点:不倫が原因で夫婦関係が崩れたことは伝えても良いですが、「誰が悪いか」「どのように関係が発展したか」といった内容は避け、**「夫婦としてうまくいかなくなった」「信頼関係が壊れてしまった」**というように中立的な説明をすることが大切です。

4. 家庭環境や親の関係性

家庭内での関係性や親同士の感情の状態も重要な判断基準です。もし親同士がまだ感情的に対立しており、互いに責任を押し付け合っているような状況であれば、不倫の事実を子どもに伝えることで、子どもが親同士の対立に巻き込まれてしまう可能性もあります。このような状況では、子どもを守るために慎重な説明が求められます。

  • 親同士が協力的な場合:もし親同士が離婚に向けて協力的であり、子どもの気持ちを第一に考えている場合は、不倫の事実を子どもに伝えても問題ない場合もあります。この場合でも、相手を悪者にせず、家庭の変化として説明することが重要です。

5. 長期的な影響を考慮する

子どもが不倫の事実を知ることで、長期的にどのような影響を与えるかについても考慮する必要があります。特に思春期の子どもにとっては、親の不倫は非常に大きな心理的影響を及ぼす可能性があり、親の信頼性や家族の形に対する価値観が揺らぐこともあります。事実を伝えることが、子どもにどのような影響を与えるかをよく考えた上で、できるだけ心のケアを行うことが重要です。

5. 子どもの反応とサポート方法

親の離婚や不倫に対して、子どもは年齢・性格・家庭内の雰囲気に応じて様々な形で反応します。一見すると平静に見えても、内面では大きな葛藤や不安を抱えていることもあります。ここでは、代表的な反応パターンと、それに対する適切なサポート方法を詳しく解説します。

【主な反応パターン】

  • 怒りや反抗:突然怒りっぽくなったり、親に反発する行動を取ることがあります。これは親の変化に対する不満や混乱の表れです。

  • 沈黙・無表情:何も言わず感情を表に出さない子もいます。感情をうまく言語化できなかったり、親の顔色を伺っている可能性があります。

  • 過剰な「いい子」:問題が起きないように自分を抑えることで、親の気を引こうとするパターンもあります。これは自己犠牲的な行動で、無理をしているサインです。

  • 体調不良・行動変化:腹痛や頭痛、夜眠れない・学校に行きたくないといった身体的・行動的サインに表れることもあります。

【サポートのポイント】

  • 否定せずに「反応を受け止める」:子どもが見せるどんな反応も、「その子なりの感情の表現」であると理解し、頭ごなしに否定しないようにしましょう。

  • 日常の安定感を保つ:離婚や不倫という非日常の出来事があっても、生活のリズムや家庭内のルールはできる限り変えずに保ちましょう。「変わるもの」と「変わらないもの」を明確に伝えることで、子どもに安心感を与えます。

  • 子どもの話を無理に引き出さない:自分のタイミングで話せるよう、常に聞く姿勢を示しておくことが重要です。沈黙の中にもサインが隠れていることがあるため、言葉だけでなく行動も注意深く見守りましょう。

  • 必要に応じて専門家と連携する子どもが深く傷ついている様子がある場合や、感情をうまく処理できない様子が続く場合は、スクールカウンセラーや児童心理士などの第三者に相談することも検討しましょう。子どもが親には言えない気持ちを話すための「安心できる場所」をつくることが目的です。

6. 親としてやってはいけないNG行動

離婚や不倫の説明は、親にとっても非常に感情的な場面です。しかし、親の一時的な感情が、子どもに長期的な影響を与えることがあります。以下のような行動は、子どもの心を深く傷つけ、後の人間関係や自己肯定感に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 相手の悪口を言う・一方を悪者にする

「パパは最低だ」「ママが全部悪いんだ」などと相手を攻撃すると、子どもは心の中で葛藤を抱えます。どちらの親も大切な存在である子どもにとって、片方を否定することは自己否定にもつながります。

「自分の半分は“悪い人”からできているのではないか」という不安を抱くことも。

② 子どもを味方につけようとする・同情を求める

「ママの気持ち、あなたはわかってくれるよね?」「パパだけがあなたを守ってるんだよ」などと、子どもを巻き込む行為は、心理的な負担を強います。

子どもは本来、親の問題を解決する責任はありません。子どもに判断を迫ることは、情緒不安定や罪悪感の原因になります。

③ 感情的な発言で子どもにぶつける

怒りや悲しみをそのままぶつけると、子どもは怯えたり、自分の存在が問題なのではないかと感じてしまいます。

「ママはもうつらいの」「あなたまで私を困らせないで」などの発言は、無力感や不安感を植えつけます。

④ 子どもの前で夫婦げんかや不倫の話をする

目の前での言い争いや、不倫の詳細を耳にすることは、子どもにとって強いストレスになります。状況を処理する力が未熟な子どもは、「何が起きているのか」「自分はどうすればよいのか」と混乱します。

不安定な環境が続くと、学校や日常生活にも影響を及ぼすリスクがあります。

7. 離婚後の生活と子どもの適応をどう支えるか

離婚や不倫の説明が終わったあとも、子どもにとっての本当の試練は「新しい生活への適応」です。この時期、親は以下のような点に注意しながら、子どもを支えていく必要があります。

変化を予測しやすくする

  • 引っ越し、学校の変更、生活リズムなどが変わる場合は、事前に説明し、予測可能にすることで不安を減らす。

  • 小さな変化でも「何が変わるか」「何は変わらないか」を丁寧に伝える。

親子のつながりを継続する

  • 離れて暮らす親との面会や連絡方法を明確にしておく。

  • 電話・ビデオ通話・手紙など、子どもが関係を維持できる手段を確保する。

子どもの感情に敏感になる

  • 生活が安定したように見えても、内面で不安や怒りを抱えていることがある。

  • ふだんより丁寧に話を聞き、表情や行動の変化を見逃さない。

9. 周囲の大人との連携も大切

子どもを支えるには、親だけでなく周囲の大人との連携も非常に重要です。特に学校や祖父母など、子どもと日常的に関わる大人たちには、ある程度の情報共有と理解が必要です。

学校への報告と協力依頼

  • 担任の先生やスクールカウンセラーには、家庭状況の変化を伝えることで、子どもに異変があったときに適切な対応をしてもらいやすくなります。

  • 「離婚があったことだけ伝えて、不倫の話まではしない」など、伝える範囲を親がコントロールすることも可能です。

祖父母・親戚との関係維持

  • 子どもにとっては、祖父母や親戚も家族の一員。離婚後も関係が継続するよう配慮すると、心の安定につながります。

  • 祖父母が一方の親を責めたり、子どもに偏った情報を伝えることがないよう、事前に協力を求めておくとよいでしょう。

周囲の大人と子どもを「巻き込まずに支える」姿勢を共有する

  • 離婚に関して大人の間で感情的な対立が起きると、子どもはその板挟みになります。

  • 「子どもの前では中立な姿勢を守ろう」という共通理解を、親を含む周囲の大人で持つことが大切です。

10. 子どもの気持ちを継続的にケアするために

離婚や不倫の説明は一度きりでは終わりません。環境の変化が落ち着いた後も、子どもはさまざまな感情を抱え続けることがあります。そのため、継続的な心のケアが非常に重要です。

 時間をかけて気持ちを受け止める

  • 離婚直後は特に、子どもは自分の感情をうまく言葉にできないことがあります。無理に聞き出すのではなく、気持ちが出てくるまで待ち、いつでも話せる環境を整えておきましょう。

日常会話の中で小さな変化に気づく

  • 「最近どう?」「学校楽しかった?」といった何気ない会話から、子どもの心理状態を感じ取ることができます。表情や行動の変化に敏感になり、小さなサインを見逃さないようにしましょう。

特別な時間を一緒に過ごす

  • 親子で過ごす穏やかな時間は、子どもにとって安心の源です。休日に一緒に遊ぶ、寝る前に本を読むなど、日常の中でスキンシップや会話の機会を作ることが大切です。

必要であれば専門家の力も借りる

  • 子どもが長期的に感情を閉ざしていたり、不安定な様子が続く場合は、スクールカウンセラーや心理士に相談することも選択肢です。親だけで抱え込まず、第三者と協力しながら見守っていきましょう。

最後に:子どもの安心感を守るために

離婚や不倫によって家族の形が変わったとしても、子どもにとって大切なのは「自分は愛されている」「大人に守られている」という実感です。

親としてできる最も大切なことは、

  • 子どもの気持ちに寄り添い、

  • 繰り返し安心を伝え、

  • 変わっていく環境の中でも一貫して子どもを愛していることを示すこと。

未来の信頼関係を壊さないためにも、慎重かつ誠実に向き合いましょう。

 

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