横浜市内で離婚問題に強い探偵事務所をお探しの方へ。
結婚したのに聞いていた年収や私生活がだいぶ違い、騙されたと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
納得がいかず、離婚の話し合いをしても相手が応じてくれなければ、家庭裁判所に離婚調停・裁判を申し立てなければなりません。
しかし、事情によっては婚姻関係であった事実を取消・無効にすることができます。
簡単に言えば、最初から婚姻が成立していなかったことになるため、戸籍上にも離婚歴がつかないということです。
騙されて結婚した婚姻関係を解消したいとお考えの方は参考にしてみてください。
婚姻の取消とは
婚姻の取消しとは民法731条から民法736条の婚姻障害事由が存在する場合、婚姻を取り消すことができる制度です。
一度婚姻をしてしまうと、原則として婚姻関係を解消するには離婚するしか方法はありません。
相手の浮気では婚姻を取消しや無効にすることはできず、協議離婚か調停・裁判で離婚請求しなくてはなりません。
しかし、例外的に下記の婚姻の取消事由であれば、家庭裁判所に対して請求することにより、婚姻の取消しが認められることになっています。
婚姻の取消事由
下記の事情があったときに、婚姻を取り消すことができるとされています。
婚姻適齢に違反した婚姻
男性が18歳、女性が18歳(法改正により16歳から18歳に引き上げ)から婚姻することができます。
また、未成年者が婚姻するときは父母の同意を得なければなりません。
婚姻適齢違反の婚姻については、当事者が婚姻適齢に達したときは婚姻を取り消すことはできなくなります。
ただし、不適齢者が婚姻適齢に達した後、猶予期間として3カ月間は取消請求をすることが可能です。
重婚の禁止
既に配偶者のある者が他の者と重ねて婚姻することができないとされていますが、これに反して婚姻届が受理されてしまった場合は後婚については無効にならず、当事者・親族・検察官・前婚の配偶者が取消請求することができます。
重婚が生じる場合、以下の例が挙げられています。
・戸籍事務上、誤って二重に婚姻届が受理された場合
・後婚の成立後に前婚の離婚が無効、あるいは取消された場合
・外国での婚姻と国内の婚姻が重なって行われた場合
・失踪宣告を受けた配偶者が再婚した後に失踪宣告が取消された場合
再婚禁止期間内
女性は前婚の解消、又は取消の日から100日間経過した後でなければ例外がない限り、再婚することができません。
ただし、女性が前婚の解消、又は取消の時に懐胎していなかった場合、例外として再婚禁止の規定の適用はないものとされています。
再婚禁止期間内に婚姻届が誤って受理されてしまった場合も婚姻の取消事由の一つとされます。
近親者間、直径姻族間、養親子の間の婚姻の禁止
近親者間の婚姻の禁止とは「直系血族又は3親等内の傍系血族の間では婚姻することができない」とされています。
直系血族とは祖父母・父母・兄弟姉妹・孫、傍系血族とは叔父叔母・甥姪のことで、いとこは4親等離れた間柄になります。
直径姻族間の婚姻の禁止とは「直系姻族の間では婚姻することができない。これは姻族関係が終了した後も同様とする」とあります。
直系姻族とは配偶者の親族のことで、夫から見れば妻の実母や祖母のことでその間柄では結婚することはできません。
養親子等の間の婚姻の禁止とは「養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系卑属との間では、親族関係が終了した後でも婚姻をすることができない」とあります。
養子とその配偶者、その子供とその配偶者は養親やその親と結婚できないとされており、養子縁組を解消した後も結婚できないとされています。
これらに反した婚姻が誤って受理されてしまった場合も婚姻の取消事由となります。
詐欺、脅迫による婚姻の取消
詐欺、又は脅迫によって婚姻した場合、取消請求をすることができます。
ただし、この場合も当事者が詐欺を発見し、もしくは脅迫を免れたあと、3カ月以内に婚姻取消請求をしなければなりません。
婚姻の取消の効果
婚姻を取消しても、その取消しの効力は過去に遡及しません。
つまり、その婚姻は取り消されるまでは有効で、取消された以降は無効となるのです。
婚姻時にその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得た時には現在利益の程度で、その返還をしなければなりません。
また、婚姻時にその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければなりません。
原因があることを知っていながら、相手の善意で利益を受けていれば、これに対して損害を賠償する責任を負うことになります。
婚姻の取消と無効の違い
婚姻の無効とは婚姻が成立当初から効力を有しないことをいいます。
婚姻関係が事後的な事情によって将来に向って効力を失う離婚や婚姻の取消と異なり、無効の場合は最初から婚姻の効力がなかったことになります。
婚姻を有効にするには夫婦の両方に婚姻意思と届出意思が必要です。
婚姻意思というのは夫婦で共同生活を営もうという意思です。
苗字を変えたい、日本の在留資格を得たい、財産を相続したいという意志だけでは婚姻届けを出しても婚姻の効力はありません。
届出意思というのは婚姻の届出をする意志です。
男女の一方が婚姻する意思がないのに、一方が勝手に婚姻届を出した場合も同様に効力はありません。
内縁関係で互いに共同生活をしていく意思があっても、相手の同意がなければ婚姻届を出しても一方に婚姻の意思がないとして認められないからです。
まとめ
婚姻の取消事由に該当すれば、家庭裁判所に請求することによって婚姻を取消すことができます。
騙されて結婚した場合、詐欺による婚姻の取消に該当しますが、ただ騙されたと言っても認めてはもらえません。
裁判所に認めてもらうには騙された背景の説明や証拠など、騙されたことを立証する必要があるからです。
また、結婚後に性的不能や重度のアルコール中毒であることが判明した場合、婚姻を無効にすることが可能です。
実際に夫婦の問題にお悩みの方は専門家に相談することをおすすめいたします。