浮気が原因で別居!婚姻費用を払う必要性
- 2022年09月24日
- 2024年02月03日
横浜市内で浮気調査専門の探偵事務所をお探しの方へ。
配偶者の自分勝手な理由で家を出たのに、高額な婚姻費用を請求されれば納得できないと思います。
それが、不倫が原因であったら尚更ではないでしょうか。
不倫を理由に婚姻費用の支払いを減額、もしくは拒否できるのか?
勝手に家を出ていった配偶者からの高額な婚姻費用の請求でお悩みの方は参考にしてみてください。
婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦の婚姻期間中に夫婦と未成熟の子(一般的には社会的・経済的に自立していない20歳以下の子ども)がその収入や財産、社会的地位に応じて通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。
具体的には居住費や生活費、子どもの生活費や学費といった費用のことです。
民法752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定されており、夫婦は互いに扶助する義務があるため、婚姻費用を分担しなければなりません。
そのため、別居して離婚協議中であっても互いの生活を保持する義務があり、婚姻を継続している間は収入の多いほうが少ないほうに対して生活費を支払わなくてはならないのです。
婚姻費用の金額
婚姻費用の金額は当事者同士の収入や子どもの人数・年齢によって異なります。
支払う側の収入が高ければ婚姻費用の金額は上がり、支払いを受ける側の収入が高ければ金額は下がります。
また、未成年の子どもの人数によって婚姻費用が上がり、子どもの年齢が15歳以上になると教育に費用が掛かるようになるので婚姻費用がさらに上がります。
婚姻費用の金額はまずは話し合いを行い、それでも決まらない場合は婚姻費用分担調停を家庭裁判所に申し立てます。
婚姻費用の額の算定には裁判所が公表している算定表を基準に、支払う側の収入と支払いを受ける側の収入をもとに計算されます。
有責配偶者からの婚姻費用請求は減額、または全額拒否できる
別居に至った原因が相手の不倫やDVであった場合、あなたになんの落ち度もなければ出て行った相手からの婚姻費用の請求は減額、または全額拒否することができます。
婚姻費用の減額、また全額拒否する条件としては以下の2つになります。
不貞行為があった場合
夫婦の間では配偶者以外の異性と自由な意思で性的関係を持ってはならない貞操義務があります。
不倫はこの貞操義務に違反する行為であり、不倫やDVといった夫婦関係を破壊する行為をした配偶者を有責配偶者といいます。
この有責配偶者は不倫やDVをしたにも関わらず婚姻費用を請求することは、自分は夫婦の義務を守らないのに相手に夫婦の義務を果たさせることになります。
このような自分勝手な言い分は調停や裁判では通らず、権利濫用や信義則違反とみなされ、請求の減額、または全額拒否が認められることがあります。
※信義則とは「信義誠実の原則」の略であり、当該具体的事情のもとで相手方の信頼を売ら切らないよう行動すべきであるという法原則です。
同意なく勝手に家を出た場合
また、配偶者が勝手に家を出て行った場合でも同様です。
夫婦には正当な理由がない限り同居する義務があり、配偶者が自分勝手な理由で家を出て行った場合は「悪意の遺棄」があったと判断される可能性があります。
悪意の遺棄とは法的離婚事由の一つで、正当な理由もなく同居・協力・扶助など夫婦間の義務を履行しないことをいいます。
この場合、夫婦の義務に違反しているのは家を出て行った配偶者になるので、これも同様に相手からの請求の減額、または全額拒否が認められる場合があります。
婚姻費用の減額、または全額拒否する際の注意点
妻からの婚姻費用の請求を減額、または全額拒否する旨を主張する際に注意しなければならないことがあります。
それは、妻が出て行った原因の一部が夫にもあったと裁判所などの第三者に判断される場合です。
例えば、自分では気にも留めていなかったが、普段からの言動や態度がモラハラやDVと評価された場合、別居の原因は夫にもあったと判断される可能性があります。
また、相手が不倫していると主張しても証拠がなければ、ただの言いがかりになってしまい、難癖をつけて婚姻費用を払わなかったと裁判官などに判断されるおそれがあります。
万が一、そのように判断されてしまい婚姻費用の不払いがあれば逆に悪意の遺棄があったとして慰謝料を請求されかねません。
客観的に相手に責任があり、婚姻費用を減額、もしく全額拒否できるかは専門家に意見を聞いたほうが良いでしょう。
婚姻費用を払わないリスク
正当な理由なく、婚姻費用を払わないと離婚の際に不利になる可能性があります。
不利になる理由として、前述でも記載したように夫婦の義務違反として法的離婚事由の悪意の遺棄としてみなされる可能性があるからです。
悪意の遺棄としてみなされた場合、夫婦関係を破たんさせた原因を作ったとして離婚や慰謝料の請求が認められる場合があります。
また、調停や裁判で婚姻費用の支払いが決まったにも関わらず、婚姻費用を払わないと裁判所から履行勧告や履行命令が出されるおそれがあります。
履行勧告は婚姻費用の支払いの注意喚起の通知となり、履行命令は従わなければ10万円の過料に処されます。
さらに、履行勧告や履行命令を無視して婚姻費用を払わないでいると、強制執行で財産を差し押さえられる可能性があります。
差し押さえの対象としては給料や預貯金・不動産・動産などで、給料を差し押さえられた場合は会社に婚姻費用を支払っていないことがわかってしまいます。
子どもの養育費は別問題
子どもを連れて別居した妻が請求する婚姻費用には子どもの養育費も含まれます。
不倫が原因で別居した場合、妻の生活費分については全額拒否、または一部の支払いを拒否することができますが、子どもの養育費分については拒否することはできません。
理由としては、親には子どもを扶養する義務があり、親の不法行為について子どもにはなんら責任がないからです。
そのため、調停や裁判による婚姻費用分担請求の申し立てにおいても、不倫をした妻への生活費の分担は認められなくても、子どもの養育費用の分担については認められることになります。
まとめ
別居に至った原因が相手配偶者の不倫やDV、または勝手に家を出た行為が悪意の遺棄にあたるとみなされれば、相手の婚姻費用の減額、または拒否することが可能です。
ただし、不倫した配偶者が子どもを連れて出て行った場合、婚姻費用のうち子どもの養育費については減額することはできません。
しかし、このように相手の不法行為が認められれば、高額な婚姻費用の請求も減額、もしくは全額拒否することができます。
不倫をして勝手に家を出ていった配偶者からの高額な婚姻費用請求にお悩みの方はご相談ください。