未成年の浮気相手に慰謝料請求はできる?親の責任や法的リスク
- 2025年04月22日
- 2025年04月22日

浮気や不倫が発覚したとき、被害者としては「慰謝料を請求してけじめをつけたい」と思うのが当然です。しかし、もしその浮気相手が“未成年”だった場合、状況は一気に複雑になります。
「責任を取ってもらえるのか?」「親に請求できるのでは?」
このような疑問を持つ方のために、今回は未成年の浮気相手に対する慰謝料請求について、法律的な観点からわかりやすく解説します。
未成年でも慰謝料請求は可能なの?
基本的に、未成年であっても一定の年齢と判断能力があれば、慰謝料を請求することは可能です。
特に中学生後半〜高校生以上であれば、責任能力を有するものと見なされるケースが多くあります。
ただし注意すべきは、未成年者という立場から、
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相手が既婚者と知らなかった
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無理やり関係を持たされた
といった主張が認められると、慰謝料の支払い義務が否定されることもあります。
責任能力がなければ親に請求できる場合も
未成年者が中学生や高校生などで、まだ十分な判断能力がないと判断される場合は、親に対して慰謝料請求が可能になるケースもあります。
これは「監督義務者の責任(民法714条)」によるものです。たとえば以下のような例が該当します。
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14歳の子どもが既婚者と関係を持った
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親がその事実を知りながら止めなかった、または放置していた
このような場合、親に対して損害賠償責任が発生する可能性があります。
裁判では慰謝料が減額・免除されることも
たとえ慰謝料請求が可能であっても、裁判では事情が考慮されるため、減額されたり、慰謝料自体が認められなかったりするケースもあります。
ポイントとなるのは、
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年齢と精神的成熟度
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浮気の経緯(自発的か、そそのかされたか)
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相手が既婚者であることを知っていたかどうか
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証拠の有無(LINE・写真・通話記録など)
などです。状況によって判断が大きく異なるため、弁護士に相談することが非常に重要です。
慰謝料を支払ってもらうための現実的な方法
未成年者に慰謝料を請求して実際に支払ってもらうには、現実的かつ法的なアプローチが必要で以下の方法が考えられます。
1.示談交渉で合意を目指す
内容証明で請求書を送付した後、相手(未成年者)またはその保護者と示談交渉を行い、金額や支払い方法などについて合意を目指します。合意が成立したら、示談書を作成し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
2.相手の親に連帯保証人になってもらう
未成年者には経済的な支払い能力がないことが多いため、示談書には親を連帯保証人として記載してもらうのが有効です。これにより、支払いが滞った際に親へ請求する法的根拠が生まれます。
3.親に建て替えてもらう(実質的な支払い者)
多くのケースでは、親が実質的に慰謝料を支払うことになります。
示談交渉の中で、親が子どもに代わって慰謝料を一括または分割で支払う形を取ることも可能です。この際も、正式な合意書を残すことが重要です。
慰謝料請求時の法的リスクの注意点
未成年者に慰謝料請求を行う際には、以下のような法的リスクに注意する必要があります。
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名誉毀損やプライバシー侵害のリスク:相手の個人情報をSNSなどで晒した場合、逆に訴えられる可能性があります。
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脅迫・強要とみなされる恐れ:過度な請求や精神的な圧力をかけると、脅迫罪や強要罪に該当する恐れがあります。
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未成年者への精神的ダメージによる責任問題:配慮に欠けた対応が、後に損害賠償請求の原因となる可能性も。
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不適切な対応によるトラブルの長期化:直接対話や独断での対応は、かえって解決を遅らせることになります。
これらを避けるためにも、感情に任せず、法的に正しい手順と冷静な対応を心がけることが重要です。
配偶者が未成年者と不倫していた場合の法的リスク
もし配偶者が未成年者と不倫関係を持っていた場合、配偶者自身が刑事罰の対象となる可能性があります。
配偶者に問われる可能性のある罪名と法的リスク
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青少年保護育成条例違反
各都道府県の条例に基づき、18歳未満の青少年との不適切な性的関係が処罰対象となる。 -
児童福祉法違反(第34条第1項等)
未成年者の健全育成を阻害する行為、性的搾取などが該当。 -
強制性交等罪(刑法第177条)
相手が13歳未満の場合は、同意があっても強制性交等罪として処罰対象(6年以上の懲役) -
淫行誘引罪・わいせつ目的誘引罪(青少年保護条例等)
性的目的で未成年者を呼び出したり、誘い出したりした場合に適用される。 -
児童買春・児童ポルノ禁止法違反
報酬の有無にかかわらず、性的サービスの対価として金品を提供した場合に該当する。
こうした場合、被害者側は慰謝料請求だけでなく、刑事告訴も視野に入れることができます。
まとめ|未成年でも状況次第で慰謝料は請求できる
未成年者が浮気相手だった場合でも、年齢や判断能力、浮気の経緯によっては慰謝料請求が可能です。ただし、請求できるかどうかは個別の状況によって異なり、支払い能力の問題や責任能力の有無など、さまざまな要素を考慮する必要があります。
未成年であっても責任能力があると判断されれば本人に請求可能であり、未成熟な場合には親の監督責任を問う形での請求も視野に入ります。
また、配偶者が未成年者と不倫関係を持っていた場合には、配偶者が刑事責任を問われる可能性もあるため、単なる慰謝料問題にとどまらない重大な法的リスクを伴います。
いずれにしても、冷静に証拠を集め、法的に正しい手順で進めていくことが重要です。