「裏切りのショックから立ち直れない」― 不倫被害者のPTSD的症状
- 2025年04月25日
- 2025年04月25日

「まさか自分が…」
愛する人から裏切られるという経験は、心に大きな傷を残します。不倫をされた直後は、頭が真っ白になり、現実を受け止めきれずにただ呆然としてしまうこともあるでしょう。
その後も「どうして?」「なぜ私が?」と自問自答が止まらず、眠れない、食欲がない、人間関係に恐怖を感じるなど、まるで心に傷跡が焼き付いたような状態になることもあります。
これは一種のPTSD(心的外傷後ストレス障害)に似た反応であり、多くの不倫被害者が経験するものです。
この記事では、不倫によって起こり得る心のダメージ、PTSD的な症状、そしてそこから少しずつでも立ち直るためのステップをご紹介します。
不倫がもたらす「心の傷」とは?
不倫の被害者がまず直面するのが、深い喪失感と裏切りへのショックです。
「信じていたのに」「家族だと思っていたのに」といった想いが打ち砕かれた瞬間、心の安全基地が崩壊したように感じられます。
これは、「愛着の対象から裏切られる」という非常に強い心理的ダメージを意味し、心のバランスが一気に崩れる原因となります。
PTSD的な症状とはどんなもの?
不倫をきっかけに、多くの被害者が以下のようなPTSD(心的外傷後ストレス障害)に似た症状を経験します。これは強い心理的衝撃を受けたあとに見られるごく自然な反応であり、けっして特別なものではありません。
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フラッシュバック(突然あの場面がよみがえる)
ふとした瞬間に、不倫が発覚した時の会話や、相手のスマホ画面、浮気相手の名前などが頭に浮かび、心臓がドキッとしたり、涙が止まらなくなることがあります。まるで記憶の中の「再現映像」が無意識に再生されているような感覚です。 -
睡眠障害(眠れない、何度も目が覚める)
怒りや悲しみ、不安が頭を巡り、夜になっても脳が休まらない状態が続きます。寝つけなかったり、夜中に目が覚めて動悸がしたりと、慢性的な不眠状態に悩まされることも。 -
過敏な反応(ちょっとした言葉や態度に過剰反応する)
相手の些細な態度や言葉に「また嘘をついてる?」「この行動は何か隠してるのでは?」と、過度に反応してしまうことがあります。これは心が常に“警戒モード”になっている証拠です。 -
感情の麻痺(泣きたいのに泣けない、何も感じない)
あまりに大きなショックを受けた結果、感情の回路が一時的にシャットダウンされてしまうこともあります。「何も感じない」「空っぽ」「笑うことができない」といった感覚が続くことがあります。 -
孤独感と自己否定(誰からも必要とされていないと感じる)
「私は捨てられた」「私は愛されない存在なんだ」といった思考が繰り返され、自分の存在価値を見失ってしまう人も少なくありません。自己否定感は、回復を遅らせる大きな要因となります。 -
身体的な不調(頭痛、吐き気、食欲不振など)
心のダメージは、体にも現れます。ご飯が喉を通らない、頭が重い、胸が苦しいなど、明確な原因のない身体症状に悩まされることもあります。
これらは心が必死に現実を処理しようとしている防衛反応であり、あなたが弱いからではありません。心が傷ついた証であり、癒しが必要な状態です。
チェックリストで見る「不倫の心の傷」とその向き合い方
「もしかして、これって私だけ?」
愛する人から裏切られたとき、心に走る衝撃は計り知れません。「眠れない」「涙が止まらない」「自分が悪かったのかも」と、日常が色を失っていくような感覚…。
これは多くの不倫被害者が経験する、PTSDに似た心のダメージかもしれません。まずは今の自分の状態を、簡単なチェックリストで確認してみませんか?
【チェック1】こんな症状はありませんか?
次の項目に、当てはまるものはいくつありますか?
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□ フラッシュバック(不倫発覚時の記憶が何度もよみがえる)
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□ 眠れない、もしくは夜中に何度も目が覚める
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□ 胸がザワザワする、動悸がする
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□ 急に涙が出てくることがある
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□ 食欲がなくなった、または過食してしまう
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□ 相手の言動に敏感に反応してしまう
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□ 頭痛や吐き気など、原因不明の体調不良が続く
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□ 自分を責めてしまう。「私が悪かったのかも」と思う
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□ 人と関わるのが怖くなった
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□ 感情が麻痺しているように感じる(泣けない・笑えない)
3つ以上当てはまる場合、心が深く傷ついている可能性があります。
これは「あなたが弱いから」ではなく、それだけ大きな衝撃を受けた証。まずはそのことに、自分自身が「気づいてあげる」ことが大切です。
【チェック2】心の声に耳を傾ける質問リスト
下の問いに、今のあなたはどう答えますか?
1. 今、一番つらいのはどんな気持ち?2. 自分を責める言葉が頭の中にあるとしたら、それはどんな言葉?
3. 「本当は誰かにわかってほしい」と思っている気持ちはある?
4. 安心できる場所、少しでもホッとできる瞬間はある?
5. 誰にも話していない思い、言葉にするとしたらどんな言葉?
少しでも答えてみることで、自分の心に寄り添うヒントが見えてきます。
無理に答えを出す必要はありません。ただ、「私は今、こんな気持ちなんだな」と気づいてあげることが癒しの一歩です。
【チェック3】心の回復のためにできること
次の中で、「今できそう」「やってみたい」と思えるものはありますか?
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□ 泣きたい時に泣く。感情を否定しない
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□ 気持ちを書き出してみる(日記、メモなど)
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□ 信頼できる友人や家族に話してみる
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□ 心療内科やカウンセラーに相談する
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□ 好きな香り・音楽・食べ物を日常に取り入れる
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□ 少しでも安心できる場所に身を置く
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□ とにかく休む。何もしない時間をつくる
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□ 「私は悪くない」と心の中で何度も唱える
一度に全部できなくても大丈夫。
**小さな「できること」**を積み重ねていくことが、心の回復に繋がっていきます。
フラッシュバックの正体 ― なぜ、あの瞬間が何度もよみがえるの?
不倫被害者がもっとも辛いと感じる症状の一つが、**「フラッシュバック」**です。
突然、過去のつらい記憶がリアルによみがえり、まるでその場に戻ってしまったかのように感じることがあります。
たとえば…
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相手のスマホをのぞいてしまったときの恐怖
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不倫相手の名前を見た瞬間の衝撃
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嘘をつかれていたと気づいた瞬間の絶望
こうした記憶が、特定の音・言葉・場所など**「きっかけ(トリガー)」**によって、何の前触れもなく脳内に再生されてしまうのです。
フラッシュバックは「心が整理できていない」サイン
フラッシュバックは、「まだ終わっていない感情」が心に残っている証拠です。
脳がその出来事を「安全に処理」できていないため、何度も再体験しようとするのです。これはあなたが弱いわけでも、未熟だからでもありません。むしろ、それほど強いショックだったという証拠です。
フラッシュバックを和らげるためにできること
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ノートに書き出して「見える化」する
心の中に留めているだけでは整理できません。記憶を紙に書いてみることで、客観的に自分の体験と向き合うことができます。 -
「今ここ」に意識を戻す練習
フラッシュバックが起きたときは、自分の足を感じる、手をグーッと握る、「今私は〇〇にいる」と口に出すなど、現在の感覚に注意を向けましょう。これをグラウンディングといいます。 -
自分を責めない言葉を用意しておく
「大丈夫」「私はよく耐えてる」「これはただの記憶、今は安全」といった言葉を、フラッシュバック時の“お守り”にしてください。
自分を責めてしまう心理 ―「私に原因があったのかも?」
多くの不倫被害者が、「私に魅力がなかったから?」「妻(夫)としての役割を果たしていなかったのかも」と自責の念を抱きます。
しかしこれは被害者がよく陥る“認知の歪み”です。不倫という裏切りは、どんな理由があろうとも裏切った側の選択の問題であり、正当化されることではありません。
罪悪感や自己否定は、心の回復をさらに遅らせてしまうため、「私は悪くない」という立場を意識的に持つことが大切です。
心を回復させるためにできること
では、この深いショックからどう立ち直ればいいのでしょうか?以下のような行動や心構えが回復の助けになります。
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感情を否定せずに「そのまま感じる」こと
泣きたい時は泣いてOK。怒りも悲しみも押さえ込まず、ノートに書き出したり、信頼できる人に話してみましょう。 -
日常の小さな「安心」を積み重ねる
お気に入りのカフェに行く、散歩する、温かいお風呂に入るなど、小さな心地よさを意識して生活に取り入れて。 -
専門家のカウンセリングを受ける
感情がコントロールできない・何ヶ月経っても辛いという場合は、心療内科やカウンセラーに相談するのも有効です。
心の傷は「治す」より「癒す」
不倫の傷は、手術のようにすぐに治るものではありません。でも、時間とともに「薄くする」ことはできます。
誰かの裏切りによって傷ついた心には、自分自身の優しさが何よりの薬です。焦らなくていい、泣いてもいい、立ち止まってもいい。
「少しでも楽になるために」あなたがあなた自身を大切にすること、それが一番の回復の道です。
まとめ
不倫の裏切りは、心に大きな傷を残します。PTSD的な症状に苦しむのは、あなたが傷つくほど真剣に向き合ってきた証拠です。
まずは自分の心と向き合い、否定せずに受け入れてあげることから始めましょう。